サーヴァントと助っ人 14

そして、ドゥークーはあることを忠告するために口を開き始める。不思議なことに、その時の老紳士の顔は、何かうれしさや笑顔を隠しながら話しているように見えた。

 ドゥークー「しかし、そちらのサーヴァントは恐らく名のある英雄なのでございましょう。私のような歴史の浅いものとは大違い。…しかし、残念なことはかの者の名前を聞くことが出来ないことですな。」

 イリヤ「そうね。あなたの言う通り、サーヴァントの真名は明かしたら駄目なのは知ってるわね。自分の弱点をわざわざ曝すことになるようなものだから。…でも、バーサーカーはそんなこと必要ないわ。だって、彼の真名は【ヘラクレス】だもん。誰にも勝てるわけがないわ。」

そう、後ろのサーヴァントの本当の名はギリシャ神話でもっとも有名であろう人物【ヘラクレス】である。恐らく、ギリシャの歴史の中でも屈指の武勇伝を持つ英雄中の英雄である。

 ドゥークー【なるほど、これは難敵だ。疑似聖杯から得た知識が役に立ったというわけだ。相手はこの星の英雄でも屈指の知名度かつ武勇伝を誇る男だ。しかし、それが逆に残念でならないよ。】

そう、彼にとっては、ヘラクレスが本来の適正クラスではない【狂戦士】として召喚されてしまっているため、思考能力が若干低下していることだ。しかし、それでもある程度は残っていることには変わりはない。それと、サーヴァントは生前の逸話や伝説が【スキル】という名目でくっついてくるのだが、他にも【クラス】別について来る【スキル】もある。ヘラクレスは、現在【狂化】というスキルがついている。解説するなら、戦闘になると思考能力が落ちる代わり、驚異的な戦闘能力を発揮するという点だ。

 ドゥークー「ははは、これは驚きましたな。かの有名なヘラクレスとは。ですが、私は少々残念なところがあるのです。」

イリヤは、彼の雰囲気がなぜか急に変わったことに気づく。彼が、何かを始めようとしていることに気づき始めたのだ。