サーヴァントと助っ人 20

ここはその老人についていった方がいいだろうと決めた彼女は、形勢逆転と見ていつでも援護できるように態勢をとる。

 イリヤ「そうね、いきなり襲い掛かったんだから、それなりの落とし前はつけてもらうわ。」

 伯爵「そうかね、その落とし前がつけられたらさぞかし楽でしょう。しかし…この私をあまり見くびらないほうがよかったかも知れませんな。」

何やら、伯爵は余裕たっぷりの笑みを見せ始めた。その顔を、茂みの中から見ていたハーメルは何かしら恐怖を抱いていた。今すぐにでも戦いに出ても、さして問題がないぐらいの準備をしていたのだが、何故だろう。何かが自分を邪魔している。一体この感覚は何なのであろうか?この感覚は、あの伯爵から醸し出されているのではない。そう、寧ろこの気を発しているのはその【真正面】にいる巨人から漂ってくるのだ。

 ハーメル「ちょっと待て。この感覚、まさかとは思うが、あの狂戦士からただよって来る!まさか…あの背の高い爺さんが何か細工をしたのか。…このままではまずい。ここは、最近改造したこのロケットエンジンを積んだ最新型の高性能特大バイオリンで…」

もはやそれは楽器が兼ね備えることが出来るのかよく分からない、そんなバイオリンでバーサーカーの気をそらせようと演奏の準備を始める。このバイオリンは魔術道具に近いもので、ハーメルが演奏する楽曲に合わせて効果が異なるのだ。因みに、彼が演奏しようとした曲は、【G線上のアリア】である。ハーメルが、特大バイオリンでこの曲を演奏した場合、対象者の気持を落ち着かせる効果があるのだ。しかし、現実は非常であった。突如、ヘラクレスが彼のほうを振り向き、即座に彼を攻撃。ハーメルはバイオリンでガードしようとしたものの、改造したバイオリンに付属した火薬に火が付き、爆破炎上したのち、ハーメルはどこかへ吹っ飛んでしまった。なんと間抜けな話だが、仕方ない。彼が出てくる原作からしてこんな感じなので仕方がない。ここは、彼の無事を祈ろう。