朝 2

そう目を見張っているうちに、気付いたらもう20体を撃破し、更に速度を上げ、次々と的を落としていく。ガッツは、驚きのあまり、周りが見えていなかったが、後ろを振り向くとかなりのギャラリーが増えていることに気づいた。

 アタランテ「おどろいたな。あの男、あれほどに強いとは知らなかった。あの動き、古代ギリシャでもあのようなことが出来る戦士がいるかどうか。」

 ガッツ「おう、お前さんも見てたのか。」

 アタランテ「いや、私はついさっきだ。どうやら、一番手は黒い剣士殿だったか。」

 ガッツ「ま、そうだな。俺も、ここで軽く体でも動かそうと思っていたら先客が派手なことをしていたってわけだ。」

 アタランテ「はは、どうもそうらしい。…でも、もうあれは派手どころではないような気がするがな。」

そうして、二人はさらに5体撃破した彼を見学する。何かしらの参考になるかと思い、二人して観察していたが、途中から諦めたたのか、二人の心境はサーカスを見ている観客のようになっていた。恐らく、余りのことに心を奪われてしまったからだろう。

 そして、その光景を見ているギャラリーの中に、一人の少女がいた。この章には関わってこないものの、後々彼女が彼らと共闘するなどとは露も思ていなかっただろう。

 少女「いやぁ…あれは参考にまったくならないなぁ~。もう人間やめてるよあの人。…ともう30体倒しちゃったの!?…もうなんだか分からないよあれ。さてと、そろそろ【死武専】いかないと。出来れば、もう少しみたかったなぁ~。誰か他に見てる人いたらいーなー。」

その少女は、そういってその場からすぐさまどこかへ行ってしまった。…さて、一人減ってしまったが、寧ろギャラリーはその分を埋めるどころの騒ぎではない人で覆いつくされた。だが、山本はそんなことなど知ったことではないと言わんばかりの剣技で後10体という所まで来たのであった。