朝 6

彼の頭に多数の剣を突き刺したのはエルザである。彼女の魔法の一つによるものだ。

 エルザ「少しは自重したらどうだ!というか、子供に何吹きこんどるんだ万屋。」

 銀時「すんまそん、やりすぎました。大人しくしておきます…。」

彼女は今にも気絶しそうな銀時に、分かればよろしいと頷いた。そのまま彼女は、無理矢理に山本を群衆から引っ張り出し、銀時を引きずり出した。一見ほっそりしてそうな腕をしているものの、彼女が所属していた魔導士ギルドでも屈指の武闘派でもあったらしいという話を聞いたことのある、はた目で見ていた辻谷は、成程話の通りと深くなっとくするのであった。

そのまま彼女は、辻谷がフロントの広間にいることにすぐさま気づき、彼のもとまでまっすぐ移動する。

 辻谷「いやはや、エルザさん。良くあの黒山の人だかりからもっさんを引きずり出せましたね。」

 エルザ「なめてもらっては困る。フェアリーテイルの魔導士は只の魔導士とは違う。それより、辻谷。そちらも大変なことがあったと聞いているぞ。あのよく笑う中国人から。」

ああ、司馬懿殿か。確かにあの人よく笑うからなー。意外と気が短いけど、などと心の中でちらっと思ったが、なぜか彼から見られているような気がしたのですぐにその想像をかき消すことにした。

 辻谷「話はもう聞いているということですね。…それにしても、もっさん。伸びてるみたいだけど大丈夫か?」

山本は、銀時同様伸びてしまっていた。それもそのはず。あの群衆から無理やり引っ張るだけのちからだ。生半可なものではない。

 山本「そりゃあれだけ強い力で引っ張られたらそうもなるよ。うぅ~さっきの修行より堪えちゃったみたい。」