朝 7

山本は、倒れた状態からゆっくりと立ち上がる。いい加減、しっかりした足取りで立たないといい加減迷惑がかかる【すでに迷惑千万なのだが】からだ。山本はどよめく群衆に別れを告げ、忘れずに倒れたままの銀時含め、四人は山本が泊まっているホテルの部屋まで移動する。どこにでもありそうなホテルのツインルームが山本の部屋だ。山本は先にシャワーを浴びるからと三人に一言断りを入れ、急いで汗を流す。体をキレイにしたところで、山本の心の準備は整った。このまま皆を集めて話をしたいところなのだが、少し困ったことに、ギャラリーが邪魔をしてしまう可能性が出てきたせいで、ここでは話しをしずらくなってしまった。そのうえ、先ほどの事件を起こしたうえで

 山本「いまさら言うのは何だけど。正直やりすぎた!」

という始末である。そのおかげで、三人は

 三人「じゃあなんでした!!!」

とそう突込みを入れる。仕方がない。山本という人間、たまに空気を読めないところがある。【ある意味ではそのせいで出世したのかもしれないが】

もしかすると、彼が魔導士であったらエルザに誘われてそのまま異世界に存在する魔導士ギルド【フェアリーテイル】に入っても違和感がないのかもしれない。そもそも、彼が訓練をやり始めたのは、この世界のこの街では、そこまでやっても問題ないだろうと踏んだからだが、見事に見当外れだ。

 辻谷「そんなことを堂々というとは、大したやつだ…」

 エルザ「本当だ。…まあそんな神経してないと役人とかやってられんのだろうな。」

単に彼が少し抜けているだけのような気がしないでもない。…だが、普段は真面目そうに見える山本はまだいいが、本当にすごいのは辻谷である。それはまた今度の話として、これから始まるは物語が進展するために重要な話である。

 エルザ「そんなことよりだ。まだ話の続きがあるようだが、このままだと話が進まんぞ。フロントにいたらあなたが目立つ上に、お前の仲間たちは何かと目立つ。」