再びカルデアにて 11
アタランテ「まず一言言わせてもらおう。…二度とこんなハードなことはごめんだ!」
テスラ「全くです!!…しかし、このことをこの時代の人達に何と説明したらよいのか困りますな。いきなりこんな姿になった私が果たして同一人物と認識してくれるのかどうか…。しかも、この時代によみがえった私と、サーヴァントとしての私の記憶がこんがらがっている状態になっているようですな…。」
25世紀の国連では、テロ事件によって多くの負傷者が出ており、救急班およびERのスタッフが大急ぎで傷病者の手当にあたっている。一方で、サーヴァント化した二人もその身体能力を生かして救出の手助けをしていた。二人は、改めて今回起きてしまった事件の凄惨さを目の当たりにする。あたりに散らばるのは、赤い液体と化した者や、肉片となった者、そして、そこから漂うは酸い死の臭い。形あるものは形を無くし、全てが崩壊した。長机は完全に押しつぶされ、天井は赤黒く染まり、辺りには煤や煙が広がっている。
アタランテ「そうだな。これでは、一方的な殺戮そのものだ。戦争でも、こんなにひどいありさまがあっただろうか。彼らは一般市民だというのに、これには正義のかけらもない。無論、戦争もよくないが、これはそれ以下の状況だ。」
事態を嘆く二人に、一人の人物が歩みを近づけるのは龐統。この会議に参加していた中華系の人物だ。
龐統「全くその通りだねぇ。相手には、義も何もありゃしない。見ているだけで胸糞悪いよ。しかし、敵さんには逃げられてしまって残念だ。」
テスラ「まったくだ。この私としたことが、不覚をとってしまったよ。その上、素顔を見せぬ故に、相手の素性が全く分からかったのも悔やまれます。」
三人の様子をモニターで見るカルデアの山本達。なのだが、山本を除いて、ある疑問を浮かべていた。それは、サーヴァントが堂々とテレビに映っているという所だ。