世に仇し者 セフィロス 7

 クラウド「何!?どういうことだセフィロス!」

 セフィロス「ふっ、それはだな…」

セフィロスは、何かをクラウドに伝えようとしたが、何かがどこからともなくセフィロス目掛けて飛んできたのだ。それは、彼らを分断していた炎の壁を破り、クラウドを救出しようとして技を放ったアルカードの仕業だった。技の名前は【ダークインフェルノ】。球体状の地獄の炎を相手に向かって飛ばす技である。

 

が、セフィロスはすぐさまそれに気づき、どこからともなく取り出したある者でその炎を払い、消した。

 そのすぐ後にクラウドのもとへ助けに来た五人。その前に立ちふさがっていたのは、己の身の丈を超えるほどの長さを持つ、【政宗】という日本刀に似た刀を持つセフィロスであった。

 

 アルカード「どうやら、隙は作れたようだが、まさかダークインフェルノをかき消されるとは思っていなかった。」

 セフィロス「残念だ。【ファイアーウォール】を突破したまではよかったが、そこからが問題だったな。」

 

その威圧、その風貌。本当にこの世に存在している人間なのか?クラウドのもとへ駆けつけた5人は、セフィロスに圧倒されていた。

 忠勝「むぅ、この威容。並々ならぬ武者と見える。」

 アルク「私も今まで感じたことがない。…間違いなく彼は人間なんだけど、何あなた?とんでもない力を秘めているでしょ?クラウドと似てる部分と、もう一つの力はなんなの?」

世に仇し者 セフィロス 6

そう問われたクラウドは、どういった返答をするか、もうすでにはっきりと決めた。彼の返答は、単純明快である。

 クラウド「お前なら分かるだろう?俺の返答がどうなるのかってのは!」

そのまま彼は背負っている大剣を、セフィロス目掛けて振り下ろした。すなわち、答えはNOである。が、セフィロスクラウドの攻撃をさらりと躱したと思えば、まるでクラウドが初めからそう答えるであろうと言わんばかりのリアクションを取る。

 

 セフィロス「ふっ、お前のことならそうするだろうと思っていたさ。」

 クラウド「はぁ。なんでそれならそんな質問をした。」

クラウドは、呆れた物言いをするが、セフィロスはそのようなことはお構いなしと言わんばかりの態度をとる。

 セフィロス「わからないか?お前がそういう答えを返答するということを確認したかったからだ。…お前が間違いなくお前でいるかどうかな。」

 

これまたクラウドは頭を抱える。ならわざわざこんなことをしなくともいいじゃないかと思ったが、次のセフィロスの言葉は、事態の深刻さを表すものであった。

 セフィロス「いいか、クラウド。そうでなくては、【俺があの男に代わってこの世界を変える】ことになる。…俺を止められるか?」

世に仇し者 セフィロス 5

クラウドは、不思議と心当たりがある。恐らく、前にその男を見た覚えがあるような気がしたからだ。

 クラウド「…俺がこの世界に呼ばれたというのはやはりこのためか。」 

 セフィロス「思い出したか。そう、かつて異世界中を巻き込んだ戦いが起こった。その際、どこからともなく異界の英雄たちがそのたくらみを阻止せんと現れ、すべてが終わりし後、忽然と消えたのだ。…私も、かつてはその一人だった。無論お前もだ。…その時は、俺は黒幕側だったがな。」

 

何故だろうか、今まで完全に記憶から消えていたことが急にフラッシュバックして思い出される。そう、謎の仙人からの呼びかけられた時でさえもはっきり思い出せなかったのに、急に何もかも思い出したのだ。

 

 クラウド「ああ、そうだったな。何故か今、急に思い出した。そうだ、俺たちは訳も分からず何者かに呼び出され、あの男、【那由多銀河】が呼び出したヴィラン達と戦ったのだったな。」

 セフィロス「思い出したかクラウド。そうだ、俺たちは闘い、そしてすべてが終わったころ、何もかもなかったかのように元の世界に戻ったのだ。何故だかは分からんが、俺は思い出したがな。それでだ、思い出したついでにもう一度聞くが、今度はお前たちに味方してやらんでもない。…どうするクラウド。」

世に仇し者 セフィロス 4

その肝心のクラウドは、炎の壁に阻まれ、何度目かはもうわからないが、再びセフィロスと一対一で対峙することになる。

 クラウド「はぁ。さて、お前とこう一対一になるの、何度目だったか。」

 セフィロス「さぁな。【俺】も、数えてないからな。勿論、こうするのはお前なら理解できるだろう?」

 クラウド「なにか、聞かれたくないことがあるからだろう?もしくは、俺じゃないと話せないことがあるということか。」

 セフィロス「ふっ。決まっている。両方だ、クラウド。…さて、この光景、あの時を思い出すなクラウド。」

 クラウド「そうだな。…それで、こんな嫌がらせをしてどうするつもりだ?」

 

クラウドは、セフィロスに詰め寄る。その意気、いまからでも背中を真っ二つに斬らんとしている。が、セフィロスは鼻で笑って、気にもせずに話を続ける。

 

 セフィロスクラウド、お前も話に聞いているだろう。あの仙人から。この星だけでなく、我々が住んでいる世界だけでもなく、あらゆる世界がある男によって滅亡の危機にあるということを。」

 

セフィロスは話の本題に入る。彼から語られる言葉は、今回の事件の首謀者が何を企んでいるのか、根本的な内容が含まれる重要な内容だ。

 セフィロス「俺は。奴を止める必要がある。そのために、力を貸してくれないか?」

世に仇し者 セフィロス 3

ビリーの言う通り、クラウドセフィロスは幾度も戦ったことのある者同士なのだ。そして、そのセフィロスに勝てることができることができる数少ない存在。それが、時空省に呼び出されし300【スリーハウンドレッド】と呼ばれし異界の英雄が選んだのが【クラウド・ストライフ】その人である。因みに、かなり久々の登場である。

 

 ?「とまぁしかしだ。死して後、この世界に呼び出され、遂には戦争に巻き込まれてしまうとはな。生前も、忍宗を広めるために奮闘したが、此度は別の方向で何とかするしかないというわけだ。さてさて、どうやら、わしの息子の子孫も敵側として暗躍しておるというからな。さてさてどうするか?」

 

 今は直接かかわらないようにして、霊体化して見守るというスタンスをとる彼の名は【大筒木ハゴロモ】という。この地球とは別の世界の星で、忍術の始祖とされる人物【この星の忍術とはほぼ異なる】で、忍宗という教えを世に広めたという。生前は、十尾と呼ばれる怪物を退治したことでも知られているそうだ。【星を滅ぼしかねないレベルのやばい奴らしい。】通称は六道仙人とも。

 大筒木「しかし、ひとまずはあのクラウドという青年を陰から見守るということが咲であろうな。然る後、わしも動くことにしよう。まぁ、見守らずとも、恐らく彼は大丈夫だとは思うが。何せ、彼は【星の力】そのものを宿しているのだから。以前も、彼に勝ったことがあるらしいからな。」

世に仇し者 セフィロス 2

 セフィロス「そうらしいな。が、少し今はおとなしくそこでじっとしてもらおう。」

彼は、指をならす。すると、クラウドとほかの5人を区切るように巨大な炎の壁が現れたのだ。

 

 忠勝「な、これは!クラウド殿!」

忠勝は炎の壁に向かって叫ぶものの、向こうからの返事はない。では、そちらに向かおうとしてその壁を越えようと思ったが、それもどうやら不可能であるようだ。

 忠勝「ぬぇえい!…む?これはただの炎ではないのではござるか?」

 アルカード「あなたの言う通りだ。これは何かしらの術の類だ。迂闊に飛び込んでは何が起こるのかわからないからここは近づかないのがよいのでは?」

 忠勝「うむ、作用にござるな。犬死こそ、唾棄すべきものなり。それに、余計な傷をつけるわけにもいくまい。」

 

と忠勝はおとなしく引くことにした。無謀なことをして余計に被害が広がらないようにするというのも、良き武将、良き大将の心得であるということを忠勝自身はよく知っていた。そのため、ここは身を引くことにした。

 忠勝「しかし、あの男、クラウド殿とは知り合いなのでござろうか?」

 ビリー「いやーわからないなぁ。皆さんと一緒で僕もついさっき出会ったばかりだからなー。でも、あの雰囲気、たぶん相当な因縁があるんじゃない?でも大丈夫かなぁクラウド。今まで感じたことがない魔力を感じたけど…。」

世に仇し者 セフィロス 1

 クラウド「何故だ…お前が何故ここにいる。」

クラウドは、目の前の光景が信じられずにいた。燃え盛る炎に浮かび上がる黒のシルエット。それは、クラウドの見た地獄の光景と重なる。

かつて、クラウド達がいた世界で、幾重にも戦った相手が再び目の前に現れたのだ。セフィロスは、冷たい笑みを浮かべながらこちらに向かってくる。そして、同時にクラウドに語りかけながらほかの5人に対しては威圧的なオーラを漂わせていた。

 

 セフィロス「何故だろうな、クラウド。少なくとも、私は敵になるだろうな。あの男を止めるために。」

 

あの男?一体何のことだろうか?クラウド及び、他の5名は何を言っているのかわからなかった。

 セフィロス「そうだったな。残念ながら、先の大戦では、クラウド、そしてお前たちは参加していないのだったな。あれは激しい戦いだった。結果としては、何もかも中途半端な形となったが…いや、今はその話をするためにここへ来たのではないのだがな。」

 

セフィロスの目的、それはいったい何のことなのだろうか?クラウド達には皆目見当もつかない。

 アルク「あの人っていったい誰よ?もう、今日は本当にいろんなことが次から次へと起こって本当に…」

と彼女がまくしたてるのが気に障ったのか、セフィロスクラウドだけと話しができる環境を整えるために彼女らを隔離しようとした。