異世界侵攻録 10
一方、こちらは激戦と化していた。隊長二人は、呂布の猛攻を凌ごうと獅子奮迅するも、圧倒的な身体能力で躱し、そのまま攻撃に移る。天下の飛将軍の力は並大抵のものではなかった。
圧倒的な乱撃に、二人は悪戦苦闘の連続であった。
狛村「このままでは、少々まずいか。早く助けに行かねばならないというのに、このままでは何もできん。」
日番谷「ああ、このままだと、先に進めないことは確かだ。」
だが、呂布という男は想像以上としか言いようとしかなかった。武器が空を切る音が、あたりに包まれているが、そのほとんどが呂布が武器を振るう時にした。それだけ、呂布の斬撃は速く、常人なら、今頃膾切りにあっている。だが、彼らも死神という、人とはまた違った職についている者たちだ。少年とその人狼は、人にして人ならざる領域に立ちし武勇を誇る相手に引けをとっていないのは流石だ。
しかし、形勢は決して有利とは言えないものだった。いや、不利であることは明白だった。
呂布「お前ら、もう少し本気をだそうとは思わんのか。」
たしかに、本気を出そうと思えば、始解をして圧倒的な力でねじ伏せることが出来る筈である。
呂布「ならば、お前たちの力を引きだしてやってもいいが?」
何だとと、二人は驚く。この男、おそらく卍解のことを知っているのだろう。ここまで攻めてくるほどの相手だ。
日番谷「なんだと!まさか、お前。」
狛村「どうやら、こちらに本気を出せといっているらしいな。武器を地面に置いたのがその証拠だ。」
呂布は、武器を地面に置いてそのままもたれかかるような態勢になっていた。このまま攻撃をすれば、おそらく勝てるのではないかと思ったが、それはないだろうということは理解できていた。二人は、斬魄刀の力を開放することを決めた。
二人は、始号と呼ばれる言葉を発し、力を開放する。日番谷の武器からは、氷の竜が現れ、狛村の武器からは巨人が現れた。
呂布「…ほう。これは圧巻だな。…腕が鳴るというものだ。」
普通の人間なら、縮み上がってしまうところだが、呂布は違った。自分よりも、強いものが現れたことが、彼にとっては喜びだった。