再びカルデアにて 5

彼にしては珍しく慌てた口調で話すので、これはただ事ではないかということがすぐさま理解できた。山本は、司馬昭の指示に従って無線を調整し、未来から通信が届くかどうかを確認した後、すぐにホログラムを展開する。

 山本「…何なんだこれは!世界至る所の時空省と国連本部がテロ事件にあっているだと!」

藤丸たちは、先ほどまで無類の武勇をふるっていた人が動揺する様を見て、一体何事が起こっているのかはすぐさま理解できた。そして、彼らが目にしたのは、地獄の様相を呈している25世紀の国際連合の大会議室の状況が映し出されていた。どうやら、これはニュース映像らしい。

 山本「ああ、何ということだ。くっ、これも連中の仕業か!」

 藤丸「これは酷い。…今までいろんなことを見てきたけど、その中でもかなりひどいありさまだ。」

 マシュ「ええ、この状況、決して許されることではありません…。ですが、このままこの状況を放っておくわけには…あれ?ええっと、すみません。こんな時に失礼ですが、もしかすると、あれは【アタランテ】さんと【テスラ博士】では。

彼女の言葉に、山本は一旦落ち着いてよく画面を見直す。すると、画面の右端と左端に確かにいる。彼らは、時空石と呼ばれるものでよみがえった偉人たちだ。しかし、何故二人は彼らを知っているのだろうか?山本がそう考えていると、すぐにそれは理解できた。

 アタランテ「ん?どうした?汝。私の名を呼ばなかったか?」

 二コラ・テスラ「私もたった今自分の名前を呼ばれた気がしたものでやってきたのだが…ん?この画面に写っているのは私と彼女ではないか!!」

山本【ああ、成程。二人とも英霊としても召喚されてたのねぇ。そりゃ知ってるはずだわな…。】

英霊召喚と時空石による蘇りは全く違うシステムである。ここにいる二人は、時空省で面識のある、自分が知っている二人とは違うのだ。この画面に写っているのは英霊である【カルデア】のサーヴァントではなく、まさに、生前の人間としての彼らなのだ。