逃亡劇、そして復活 50

 葉「どうしたの?こんな所に一人でいるのかな?」

その少女に、いつものように緩い雰囲気で話しかける。だが、彼は只のほほんとしているわけではない。彼女を見たとき、今まで感じたことの無いものを感じ取ったのだ。その少女は、始め見た瞬間はそれこそ人間のようなのだが、どこか空虚なのだ。儚げとも違う、清廉とも違う、何かが乏しいという感じだ。それは、まるでロボットのような、無機質な感じなのだ。

 

その少女は、葉の問いかけに答えるが。

 少女「…」

と、返事がない。そして、彼女はやはりどこか虚ろである。少したって、彼女は最低限聞こえる範囲の小さな声で。

 少女「…助けてほしいの」

と答えた。

 阿弥陀丸「葉殿。この子は一体?」

 葉「う~ん。少なくとも僕たちに敵意はないみたい。寧ろ、助けて欲しいって言ってるから味方かな?君、名前は?」

と、会話を繋げようとする者ものの、少女は黙ってしまったままこちらをまじまじと見ている。

 阿弥陀丸【うーむ、これは少し時間がかかりそうでござるなぁ。…さて、敵がいないかどうか見回りにでも行くとするか。】

 

と、阿弥陀丸は敵の様子を探りにいった。一方、葉は我慢強いのか、ただのんびりしているのか良くわからないが、彼は彼女が反応するのを待った。