異世界侵攻録 R&D 2

 葉「ん~問題はこれだけ急いでも間に合うかどうかどうかだよね~。」 

 阿弥陀丸「そうでござるな。これだけ急いでもぎりぎりの可能性があるゆえ、到着する前にことが終わっている可能性がありますな。後一時程【いっときほど】だと思うのですが。」

 葉「そうか~、それじゃ、もう少し急ぐとしよう。行くよ、阿弥陀丸」

こうして、彼らは目的地へ急行する。その頃、目的地では、依然ルガールによる執拗な追跡が続いていた。

 ルガール「逃さん!お前たちはここで果ててもらう!その亡骸をここにさらし、我がコレクションの一部と成り果てるがいい!」

一体その体力はどこから湧いてくるのか。とても50近い年齢を思わせない肉体から、暗い協会の狭い空間を駆け抜ける。

 元就「いや~まずいね。もう少しで脱出できるはずなんだけど…見えた!出口だ。急いで脱出し…。」

脱出しようとしたその瞬間だった。逃げる一行の横を何かしらが高速で飛んでいった。ルガールのカイザーウェイブである。一直線に飛んでいったそれは、出口上方に直撃した。その瞬間に響きわたる瓦礫が落下する音が、無常に響き渡る。そのまま、出口を塞いでしまったからだ。

 エドワード「ああ脱出できないぞ、このままじゃ。おっと、危ねぇ!」

エドワードがそうつぶやく間にも、ルガールは攻撃を容赦なく仕掛ける。その上、先ほどの衝撃で、瓦礫が頭上から降ってきたのを避けるのに手間取った分もあり、体勢を崩してしまった。何とか弟のアルフォンスがカバーしてくれたのは良かったが、このままでは、ルガールの追跡を逃れるのは、俄然厳しくなってしまった。

 アレン「まずいことになりましたね。このままでは、逃げきれない。」

 リナリー「本当ね。このまま退路を塞がれたままだと、逃げられないわ。」

 元就「ん~これはまずい状況だね。…ここは、私の【矢手甲】の出番が来たかな?」

各々、今置かれている状況がいかに危急存亡の事態であるのか、自然に理解できていた。目の前にいる怪物から逃げることがいかに厳しいか、よく理解していた。