カルデアにて 8

 スコール「いいですか、落ち着いて聞いてください。日本時空省長官及び大臣は何者かの手によって殺害されたことがつい先ほど明らかになりました。しかも、死体が見つかったのは時空省の中からです。」

 

その報せは、山本は大きく困惑且つ動揺させた。つい先日まで。そう、自分を見送るまで何一つも変わったところがなかったのに、何者かの手によって殺害されたというのだ。

 山本「そんな馬鹿な。あそこのセキュリティーは相当厳重な筈だ。そんな中で殺害されるなんてありえない話だ!」

これでもまだ驚くべき事柄だったのだが、もう一言が山本を混乱させることになる。

 

 スコール「それと、自分も信じがたいことなのですが…、死体を検査解剖したところ、死後一か月経っていたという話だそうです。」

ありえない話がさらにありえない事態へ大きく膨らんでしまった。このことは、山本以下、時空省職員全員を驚嘆かつ震撼させたのだった。

しかし、山本はここで一旦冷静になって考える。自分の時代、そう、未来の技術ならどこか別の空間で一か月以上死体を野ざらしにしてしまえばできるはず。そうすれば、一旦警察機関の目を少しでも混乱させることができる…そう考えた山本は、スコールに自分の考えを正直に話したが、その線はあっさり否定されることとなる。

 

 スコール「それが、残念なことに、彼らの死体および衣類にタイムトラベルした形跡がないのです。…ほら、山本次官も以前説明してくださった通り、時空を移動するときは体に影響のない程度の特殊な電磁波等がかかるとおっしゃっていたと思うのですが、その痕跡が一切ないのです。」

 

事態は、かなり深刻であることがはっきりとした。恐らく、これは謎の組織による犯行ということなのだろうか。