冬木へ戻る聖職者 2

 ゲーニッツ「おっと、流石にそのような扱い方をされると私も驚いてしまった。…して、あなたは何故この石版をお持ちなのですか?」

 アーデン「ちょっとした出来事があってね。その時に手に入れたのさ。でも、この石版ちょっと読めなくてね。君たちに解読を任せるよ。それじゃ、君たちの検討を祈る。」

 

そういって、その胡散臭い男はそのままこの場を立ち去ろうとする。が、しかし、そんなことを三人はすぐさま許すわけがない。怪しいおっさんがいきなり自分たちの有益な物になりそうなものを何のためらいもなく、すんなりと彼らに渡したのかという点。そして、彼がいかにも胡散臭いという点についてだ。

 

 プッチ「待ちたまへ。そのまま君を返すつもりはない。何故我々に肩入れするのかという答えをまだ聞いていないのでね。」

 アーデン「君たちに肩入れする理由?」

 言峰「そうだ。いくらなんでも、おかしいと私は感じている。どこの者とも言えぬ輩がいきなり我々の探し求めているものを持っている所とかな。それに、君の服装は何だね?そのボロボロの服は?」

 

アーデンは、何食わぬ顔でそんなの当たり前ではないかというような、飄々とした態度を依然とったまま質問に答える。人を食ったような態度とは、まさにこのことを指すのであろう。

 

 アーデン「ああ、この服?いやぁ、この石版を探すときにボロボロになっちゃってね。流石に良くなかったかな?そしたら…。」

 

アーデンは、指をパチンとならす。すると、驚くことに、彼の着ている服があっという間にきれいになったのだ、茶色と思っていた服は、泥はねがひどくそう見えていただけで、本当は黒地の立派な【それでもなぜかうさん臭く見えるが】服であったことが分かった。