妖怪退治 佳境 11

かまいたち。その名前は式もどことなく聞き覚えがあった。江戸時代から伝わる妖怪である。道すがら歩いていると、気がつかないうちに、足に切り傷がぱっくり割れていると、これはかまいたちの仕業であるという伝承と共に伝わっている。

 

 式「で、あんたがそのかまいたちってやつなのか?あんまりイタチってかんじには見えねぇけどなアンタ。」

 かまいたち「まっ、今は人間の姿取ってるが、これでも立派な鼬の大妖怪なんだぜぇ?で、俺はあんたの相手をすることになったってわけだ。あの仮面の爺さん、何考えてんのかよくわかんねぇけど、あんたの命は俺がいただかねぇといけねぇってことになってる。突然で悪いが、死んでもらうぜ!」

 

かまいたちは、手を刃物のように変化させ、そのまま空気を薙ぐように鋭く、そして素早く振りかざす。すると、空気があたかも刃のように変化し、式に襲い掛かってくる。

 式「っと、なるほどこいつは噂通りだ。」

 かまいたち「そうだろ?ぼさっとしてると、もっと飛んでくるぜ?」

 

次第に、かまいたちは刃の数を一つ二つと飛ばす数を次第に多く、そして速度を上げていく。式は、それらを軽い身のこなしでかわしていくが、次第に避けきれなくなっていくのは時間の問題だった。すると、彼女は次第に躱すことをやめ、空気の刃の正面に立つ。普通の人間なら、次の瞬間、千切れになっているところだろう。が、しかし、彼女は違った。右手にナイフを構え、刃に対して斬りつけると、それが完全に消滅したのだ。

 

 式「ったく、厄介な相手だなこりゃ。いいぜ、殺し合いってことでいいか妖怪さん?」

 かまいたち「…なるほど、なんで俺が相手しなくちゃいけねぇってのかよく分かったぜ。じゃあ手加減なしだ!ありったけの力をテメェにぶつけてやらあ!」