英雄集結17

と、余裕をかましている場合ではない。あの怪物はまだ動けるのだ。それどころか、あろうことか斬ったはずの腕が再び元に戻ろうとしているではないか!

 王ドラ「えぇ、うそでしょ?」

 キッド「現実って非情だ。どうする、このままだと先にも後にも引けないぜ。」

 ハヤテ「ん?いや、どうやらそうでもないみたいですよ。あそこを見てください。誰かこっちに来るようですよ。…海の上を歩いて。」

 

三人は、初め目を疑った。岸の向こうから、誰かがこちらへ向かってくるのだ。その人こそ、先ほどこの怪物の腕を斬った張本人である。彼は、そのままこちらへあっという間に到着した。

 

 ?「うむ、そのほうら、怪我はないか?」

 王ドラ「はい、今のところは特に…って、すみません。助けにいらっしゃったのは有難いのですが、あなたは一体?」

彼の言う通りである。海の上を走る、紋付き袴を着た侍というすさまじいインパクトを醸し出しながらこちらへ来たのだ。

 

 ?「む、そういえばそうであった。これは大変無礼を致した。拙者、セイバーのサーヴァント【柳生宗矩】と申すもの。以後、世話になる。」

三人は彼の正体に驚愕する。間違い無い。彼は今、柳生宗矩と確かに名乗ったのだ。

柳生但馬守宗矩。江戸時代、徳川家剣術指南役として名を知られる人物で、大坂夏の陣【1615年に行われた、徳川と豊臣の最終決戦】では、将軍秀忠を守るために参陣、武者を七人同時に斬り伏せたという剣豪である。

 

 そのような人物がなぜこの時代にいるのだろうか?彼ももしかしたらこの時代に迷いこんだのだろうか?…と思ったが、どうやらそうわけではないようである。