逃亡劇、そして復活 9

 首謀者「ふむ、どうやら失敗してしまったように見える。…なに、案ずるな。そのようなことで一々処断するようなことはしない。それが私だ。」

 マダラ「ま、あなたならそう言うだろうとは思っていた。…まったく、つくづくお人好しな男だ。…まさか、これほどの悪党を束ねる首魁がこのような男だとはだれも思うまい。」

 首謀者「然りだろう。表向きはすべてお前に任せてあるからな。…自分のことを知るものはごくわずかだろう。…そう、一旦手合わせしたお前の組織…いや、表向きはペインという名のだったな。…そう、暁のメンバーは当然知っているが、それ以外はな。」

 ゼーナ「そうねぇ。最古参の私を除けば、確かにあまりいないわねぇ。…それで、どうするの?このまま」

 

この混乱を引き起こした首謀者を名乗る男は、まさに【悪】という言葉からははるかにかけ離れた雰囲気を持ち合わせていた。むしろ、彼から漂う雰囲気のそれは、この世のすべてを見透かし、悟りを開いたかのような、しかしながら、どこか物憂げで、すべてをやさしさで包んでしまいそうな雰囲気を醸し出していた。

 

 首謀者「ふむ…そうだな。ならば、大きな力を集めるために、戦いを起こすしかない。…彼を追うのだ。ただし、【シス】の者は別行動のままにしておいてほしい。あとは自由に戦力を使ってよい。」