逃亡劇、そして復活 20

 が、当の本人は相当真剣である。顔色が完全に蒼白としているのは、ニケの様子を見つめる【彼】の視点からもよく理解できた。ここは、助けて上げるのが上策。その【もののふ】は、愛用の槍を構え、逃げ回る少年の後ろにいるモンスターへ突撃する。

 

 魔物A「こらまてぇ~!!てめぇの首をカヤ様に献上さえすれば俺の株が上がるってもんよ!」

 魔物B「そうだそうだ。俺達も出世がかかってんだ!そのための犠牲に…。」

突然、ニケを追いかけてた魔物の一人が急に後方へ凄まじい勢いで吹き飛ばされた。

 

 魔物A「お、おい!どうした。急にふっとんだりして?ってゴヴァ!」

もう一人の魔物も激しく吹き飛ばされ、地面にたたき伏せられる。どうやら、何かしらに激しく殴られたようで、その衝撃で吹っ飛んでしまったようである。

 

 魔物A「…何なんだ?一体何に吹き飛ばされたんだ?…て、おい!おい!!お前気絶してる場合じゃねぇぞ!」

と、魔物の一人は、気絶している仲間を無理やりたたき起こす。起こされたほうは、不機嫌そうな顔をしていたが、何やら今まで生きてきた中で感じたことの無い殺気を感じ取ったせいか、すぐに正気を取り戻した。それほどにその男の発する気というものがすさまじいものだったのだ。