逃亡劇、そして復活 21

 魔物B「うおぁ!確かにこいつは気絶してる場合じゃねぇな。…ん?もしかして?おい!そこの人間!」

モンスターは、正面に立つ男に話しかける。その男の威圧感は依然として凄まじいもので、モンスターであるこちらのほうが、彼から発せられる【圧】で根負けしそうになっていた。が、それでも気を振り絞って大声をかける。

 ?「何用かその方らよ。まずはそなた等から名乗られよ。」

 魔物A「む、そうだな。じゃねぇとお前もこっち呼びずらいだろうさ。俺が【プリン】。御覧のように、体中がドロドロのヘドロのような見た目だが、弾力があって刀なんざぁ通じないぜ。で、こっちがサイクロプス。あんたもなかなか大柄だが、こっちも大きな一つ目の鬼だ。と、一通り名乗ったところで、あんたの名を聞いてもいいか?じゃねぇと俺らも会話しずらくてめんどくさい。」

 

 魔物二名の言葉通り、律義にその男は己の名を名乗る。

 ?「拙者か。そうであったな。我は【本多平八郎忠勝】と申す。」

と、彼が名前を名乗った時、彼の周りの茂みから何者かが動く音がした。何を隠そう、隠れてみていた一部魔物の兵士が慌てて逃げ始めたのだ。

 魔物C「えっ、うそ、やばい、…にげるぞおおおおおおおお!!」

 妖怪A「えぇぇえええええっぇえ!忠勝だ!あの遠呂智軍相手に単騎で無双したっていうバケモンじゃねぇか!俺達みたいな下っ端が敵うわけねぇ!」

といった形で一斉にどこかへ逃亡を始めた。