逃亡劇、そして復活 28

 彼女の目は、確かにただ一点を見つめていた。そして、その彼女と同じ方向を向いている者がもう一人いた。日暮かごめだ。何かしら敵に隙が出来たら、自分に合図を送れと言い残し、誰の目にも映らないようにただ一人でその時を待ち続けた。…そして、その時は訪れた。

 

かごめの目が式がいるほうを見つめる。…目が合った。暗殺の時は来た。式の目には、その者の命の線がはっきりと見える。【直視の魔眼】。それは、あらゆる者、ないし物の死を【線】として見る能力だ。その死の線を何かで断つことで、生物ないし無生物でさえも【死】という概念を与えてしまう能力だ。もちろん、モンスターでさえも例外ではない。

 

 式は、その驚異的な身体能力で茂みから飛び出す。その様子は、そこにいる誰も気が付かない。目標まであと三秒、その存在を確認する。あと二秒、死の線が見える。あと一秒、式は、己の獲物で切りかかろうとする。

 ?「残念だ嬢ちゃん。ここにいるのは、あと一人だ。」

 

気づいた時にはすでに遅かった。そこには、密かに隠れていたサーヴァントがいたのだ。彼の宝具【コルト・シングル・アクション・アーミー】が火を噴いたのだ。その銃声のせいで、すべては失敗に終わる。