逃亡劇 そして復活 40

 カエサル「いやはや実に実に大変なことになっているようだ。一体この特異点で敵は何をしようとしているのか全く分からないが、あれだけ多勢に無勢でよく誰にもばれずにこの森に侵入できたものだ。」

 と、大きなおなかを揺らしながら悠然と語るのがかのユリウス・カエサルである。…結構ふくよかな体格をしているため、はじめて藤丸が彼に出会ったときは驚いたという。…もう一人、横にいるアルテラを見た時も、彼は同じことをを思った。

 アルテラ「ふむ、確かによくあれだけの戦力をこの場に投入できたという事実はおかしなことだと私も思う。どんな良い文明でも、悪い文明であってもできることではないだろう。」

 褐色の肌をした少女、それがかのアッティラである。西暦400年ごろ、東欧、ロシアからドイツまで征服した【西方の大王】【神の鞭】と称された人物で、フン帝国を築いた。遊牧民であるフン族は、騎馬戦法で強力な軍事力を持っており、それを用いて勢力を拡大した。そして、最盛期はアッティラ、いや、この世界ではアルテラという女性が王の位にあったときであった。さて、この二人をしても、敵は中々強大であるということらしい。何せ、相手は数千ということらしい。しかも、人ではなく、モンスターを中心とした敵故、並々ならぬということだ。