片翼の天使 18

 モリアーティ「なんと。私も驚いた。ここはわれらがマスターの部屋ではないか!…とはいっても、あくまで模倣したものなのだろうが。…この空間作り出した奴は本当に嫌らしい趣味してるよ。」

確かに嫌らしい。敵は中々捻くれた性格をしているといってもいいだろう。サーヴァント二人は、部屋のあたりをぐるっと見渡すと、隅から隅まで完全にカルデアのマスター【藤丸立香】がいた時のまま、その状態でいるのだ。

 巴御前「間違いありません。ここは間違いなくマスターのいた部屋ですね。ここは、かつて機能していた人理保証機関カルデア、そのままです。ほかの部屋は何かしらゆがんだところがあったのですが、ここはそのままです。」

そして、巴御前はどこか悲しげな雰囲気を出しながら、昔を思い出すかのような口ぶりで語りだす。…ある衝撃的な言葉と共に。

 巴御前「山本殿はもしかしたら存じ上げないようですので説明いたしますと、かつてのカルデアはもう存在しないのです。そこは【クリプター】と呼ばれるものに破壊され、現在は彷徨海と呼ばれる場所にあるのです。が、その彷徨海も又、つい数日前に長い刀を持つ【謎の黒マントの男】に襲撃され、壊滅状態になってしまったのです。山本殿がセフィロスという男と出会った後、その話を詳しくしますね。」

 

長い刀を持つ謎の黒マントの男。衝撃的な言葉はこれである。待て、あの男のことは容姿含めまだ話していないのに、何故こんなところでこんな偶然が起こってしまうのか!