片翼の天使 30

 モリアーティ【しまった。なんでこんな時に腰が動かなくなるのかね、サーヴァントなのに!】

ほかの二人はとっさにモリアーティを助けることができなかった。先ほどの攻撃が予想以上に苛烈で、武器で受け止めたものの衝撃で体が動かなかったのだ。

 山本【しまった。あの攻撃をまともに食らえば!】

残念なことに間に合わない。…少なくとも、この二人には救うことができなかった。しかしだ、もし別の者が現れれば話は別である。ここに、別の者がたどり着けばそれは可能になるからだ。

 ?「遅くなりもしたなぁ、もっさん。そして、犯罪界のナポレオン殿、鬼の血を引くお嬢さん。」

 

若いながらも渋い声で特徴ある男、辻谷広行が無事にこの場に到達したのだ。そのまま彼はモリアーティを部屋の隅へと抱えて移動し、そのままモリアーティの前を守るように立つ

 モリアーティ「いや、見知らぬ青年。ありがとう、おかげで助かった。君、名前は?」

 辻谷「はい、おいは辻谷広行と申します。以後、よろしくお願いいたしもす。っと、こうしている間にほかのもんも到達しているようです。」

 

どうやら、他のカルデアのサーヴァントや、山本たちの仲間たちもこちらに続々到達してきたようだ。まず、現れたのは、サーヴァントではない生身の人間である。