欺瞞12

一方、あの老紳士はだれであろうか?…と推論している間にまさか何気なく会話の中に名前が挙がった。

 巴「間違いないと思います。頭の中に響いた声ではこの場所のようですが。…あれは?カルデアス!いや、あれはもうここには存在しない筈ですが?」

 老紳士「うん?いや、あれは偽物だろう。このアトラス院における偽のカルデアには存在しないものだ。…ひとまず、あれを調べれば分かるはずだ。…さて、ここはこのジェームズ・モリアーティが調べるとしよう。」

 

驚いた。まさかのジェームズ・モリアーティとは、この機関一体どうなっているんだ?

解説すると、ジェームズ・モリアーティは、19世紀に暗躍した犯罪界のナポレオンと称される人物で、犯罪コンサルタントのような仕事を【要は犯罪になることを斡旋する仕事】していた。出身はイギリスである。あらゆる事件を裏から支配し、自分は手を汚さないやり方を得意とする。最期は、かの名探偵シャーロック・ホームズとライヘンバッハの滝で決闘を行い、そのまま滝の中に落とされ死亡している。

 

それにしても驚きだ。このカルデア、半英雄と呼ぶべき人物もいるということだ。もしかして、カルデアとは世界がひっくり帰る可能性を秘めた場所なのでは。…それを上手くまとめる藤丸君、大したもんだ。と山本は感嘆していた。