片翼の天使 41

?「あら、どうやら起きたみたいねお兄さん。初対面のはずだけど、多分夢の中であったかもしれないわね。」

どこかで聞いたことがある少女の声。間違いない、声の主はこの屋敷。否、この城の主人である【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン】である。

 山本「…初対面?どういうことだ?この森、いや、この冬木では今まで色んなことが…」

 ?「どうやら、全部夢だったみたいだよ?僕も聞いたときは驚いたけど、あの真っ黒なお兄さんがいっていたから間違いないと思うな~。」

この緩い感じの声も聞き覚えがある。間違いない、朝倉葉君の声だ!

 

 葉「お久しぶりですね~」

 山本「ああ、久しぶり…て、そうじゃないそうじゃない。なんで君がこんなところに?というより、他のみんなはいったいどこに?」

 

 ガッツ「安心しててくれ、みんなこの城の中だ。それに加えて、お前さんとこの部下も来てるぜ。…まぁなんでこんなことになったのかは後で話すそうだ。」

今度はガッツが部屋の中に現れた。少なくとも、自全員無事だということで間違いはないらしい。そのうえ、どうやら、山本次官の部下が何名かこの屋敷にいるということだ。

 

 山本「なんで自分の部下まで?いや、自分が寝ていた間本当に何があったんだ?」

 

片翼の天使 40

地に突き刺さった正宗から、赤い光が同心円状に広がる。上空からは、セフィロスがまき散らした羽が舞い降りる。そして、この攻撃を受けたものは全員戦闘不能になる。この技により、半数が戦闘不能に陥る。すなわち、これ以上セフィロスとの戦闘は続行不可能となった。そして

  セフィロス「そこで寝ていろ。俺は今から向かうところがある。直に再び相まみえることになるだろう。そして、仲間を集め、俺に会いに来い。阿僧祇の地獄で待っているぞ。」

 

そうして、片翼の天使は飛び去った。そこまでは皆覚えていたが、どうやらしばらく気絶していたらしい、ということしか覚えていなかった。

 

…いったいどのくらい時が経ったのか。気づいたらどこかの屋敷に自分の体が運び込まれていたらしい。

 山本【…あぁ、又勝てなかったか。】

目が覚めた後、動かない体で煌びやかな天井を見つめ、初めての感想がそれであった。

空虚。またしても勝つことができなかった。差が縮まったと思ったら、敵も強くなっていた。

 山本【…どれだけ努力しても、どうしても追いつけない奴っているんだな…】

 

などと考えことをしていると、どうやら誰かが入ってきた。どうやら、この屋敷の主人が入ってきたようである。

片翼の天使 39

今、戦っている二人を除いては、完全に花火大会のお客様状態となっていた。それほど、この二人の戦いは、苛烈で美しく、嵐のようで煌びやかだったのだ。

 山本は、1秒以内に、炎、氷、風の魔術を同時に放てば、相手は水、雷、炎の魔術を繰り出した。それぞれが激しくぶつかり合うと、魔術で作り出した副反応ゆえか、まるで宙に花火が打ちあがったかのような光がする。このようなことを、二人は30秒ほどやったが、これでも決着はつかなかった。

 山本「どうやら魔術勝負では一切勝負がつかないと見ていいようだなセフィロス。」

 セフィロス「…どうやら、そうらしい。クラウド以外で、ここまでついてこられる者は初めてだ。…さて、時間が惜しいな。」

それは突然である。セフィロスはそういい終わると、背中に黒い天使のような羽を生やす。…つまり、本気になった証拠である。

 セフィロス「悪いが、これでもやらねばならないことがある。…今は、地に伏せているがいい。」

 

片翼の天使は一瞬で天高く空へと舞い上がる。山本も、彼を追わんとするため、魔術で舞い上がろうとした瞬間、それは起こる。セフィロスは、空中から愛刀正宗の切っ先を地面に向けて投げる。地に刺さったそれは、まるで絶叫の音を奏でたと思いきや、赤い光が当たり一面を覆った。セフィロスの技【心無い天使】が発動した瞬間だった。 

片翼の天使 38

王ドラ「…どうすればいいんですかね?」

 プッチ神父「もはや、どうしようもないのではないのか?【以前の私なら可能だったかもしれないが、今は不可能だろう。残念な話ではあるが。】」

 絶望感しかない。まさに、そういった感じであろうか。いくら何でも対処のしようがなさすぎる。が、そんな中、何とかしようと奮戦するものが二人いた。山本時空省次官と辻谷臨時時空省職員の二人だ。

 山本「いや、何とかして見せる。この男だけは何としてでも食い止めて見せる!」

山本次官は、相手が繰り出すありとあらゆる剣術や魔法を食い止める。辻谷も、相手の技に合わせて山本を守らんと適格な剣術で防いでいく。

 山本次官も魔法ならこちらはそれに負けない斬撃を、相手の剣術がこようならそれを捌く魔術を、的確かつ冷静に相手に対し繰り出していく。圧巻だったのは、相手と距離をとりながらの魔術合戦だ。山本とセフィロスは、互いにわけのわからないスピードで、超高速の技の出し合いを始める。この時は、流石に辻谷も間に割って入ることはなく、ただの観客状態となっていた。

 

 ガッツ「…なんじゃこりゃ。俺たちはいったい今何を見てんだろうな?」

 ドラ・ザ・キッド「花火でも見てるんじゃないかなこりゃ。こんなん、他のみんなに言ってもしんじられらいだろうな。」

同じく、観客状態になっている二人に辻谷はこう答える。

 辻谷「ああ、ほんと、いつ見てもバケモンだよ、うちの次官さんは。もうしばらくは、おいも割って入れん。」 

片翼の天使 37

セフィロス「そこか。」

セフィロスは、自分が攻撃されないであろうと思われる体の部位に雷魔法【サンダガ】を放つ。彼の予想通り、そこにはD4Cの一体がいた。基本世界の一体、そして、並行世界から連れてきた三体計四体のうち、一体倒しただけでも十分セフィロスからすれば問題はない。三体ほどなら余裕で振りほどける。

 

山本は、寸でのところで光剣を収める。危うく、残りのスタンドの分までぶった切りかねないところだった。が、ヴァレンタイン大統領本体が今の攻撃で死亡してしまったものの、並行世界の自分に基本世界の自分のあらゆる情報をバックアップしたため一応無事だった。【いくら何でも便利すぎる能力であるD4C

 

 ヴァレンタイン「やはり、ここは私が抑えている方が最適解だったな。おかげで一回死んでしまったが。」

 辻谷「いや、死んでしまってるのにぴんぴんしているよこの人。…スタンド使いってこんな人ばっかりなんですかね?」

 元就「いやー多分彼だけじゃないかな?確かに、私なら死んでるのは間違いないとは思うけど?」

 犬夜叉「いや俺でも死んでるぞあれ。」

 かごめ「あの雷、雷獣兄弟をおもいだすわね…。あれを操るなんて、確かに普通の人間では100パーセントないわ。」

 

皆唖然としていた。未来の高性能ロボット、戦国武将、妖怪等時代や種族が違う者が全て絶望の表情をしている。

 

片翼の天使 36

セフィロス「これが、かの大統領が使いしスタンドか。私には見えないというのは大きなハンデというわけだな。」

そう、確かに彼の眼には見えない。が、幽波紋ことスタンドのことについては那由多銀河からすべて聞いていた。スタンド。それは精神や超能力が具現化した存在。基本、スタンド使いと呼ばれるものしかその姿を見ることはかなわない。が、便利な物ではあるものの、弱点もしかり。それは、【スタンドのダメージは、スタンドを使用する者にもダメージが通る。】ということだ。セフィロスはこれを早速利用する。

 

 まず見るのは自分を攻撃しようとする剣士の動き。この剣士には、スタンドが見えている状態である。山本も、スタンドのことは一応職業上知っているので、スタンドを誤って攻撃しないように刃を通すようにする。が、セフィロスは、刹那。その瞬間を決して見逃さない。見えなければ、相手の動きを見て予測するだけの話だ。…これを簡単にやって、かつ言ってのけるセフィロスはやはり人間ではない。

 

完全に山本次官の予想を上回る。いや、もしかしたら、自分の刃の切っ先を見て反応するのではないか、そこからスタンド【D4C】が並行世界からやってきて、合計4体いることも分かっているのではないか?が、それは瞬時に見破られる。

片翼の天使 35

セフィロス「あの頃と比べれば強くなったというわけだな。流石は生けるサーヴァント。百の技を持つ傑物。そして、万能の剣士。ほかにもあるそうだが?」

 

威圧する緑色の眼光。それは、この場にいたすべての者に効く。片翼の天使は、山本相手だけではなく、すべてを俯瞰していた。が、それでも敵は自分だと時空省ナンバー3に立つ若者は彼の剣技についていく。

 山本「ああ、お前のおかげで強くなったさ。あの時は俺も全く歯が立たなかったがな。今でも、まだあんたと比べるとまだまだとはおもうがね!!」

 

確かに、あの時に比べれば彼は強くなった。筈なのだが、どういうわけだろうか、セフィロス自身もあれから間違いなく手ごわくなっている…のだろう。相手も、強くなっているということか。

 セフィロス【確かに、那由多の言っていた通りか?間違いということか。ただ、いまは自分の正体に気付いてはいないようだが…それはまだ先の話か。】

 

そうこうしているうちに、ヴァレンタイン大統領が何かしらの手段でセフィロスの足止めをしてくれているらしい。そういえば、彼はスタンド使いだったか?というわけで、さっそく例の眼鏡をかけてみよう。宇和島が作ってくれたスタンドが見える眼鏡だ。見えた方が連携も取りやすいだろうし。そういて、眼鏡をかけてセフィロスをみると、確かにそれはいた。巨大な2本の角がウサギの耳のように生えた頭部と全身にある縫い目状の模様をした人型の何かが。しかも、複数体。


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