幕間之1 全時空省会議 3

 だが、どんな人物であるか分からずとも、山本という男は前向きに考えていた。こんなに名誉なことは無いという風に。元々真面目な彼は、こういった小さなことであっても非常にありがたがる男だ。そのあと、彼は世辞麗句をSHOから言われ、深々と頭を下げた後頭を上げると、時計が目に入っていた。最近付け替えた未来の技術が多く詰まったからくり時計である。それを見ると、ちょうど休憩時間となっていたため、彼は、一旦服を着替えた後、征服王イスカンダル】と、【君主論】で有名なマキャベリのところへ向かっていった。

話の内容は、久しぶりに出会えたということ、近況はどんな感じかといったような簡単なものだ。そうして、イスカンダルは豪快に笑いながら私とこんな内容の話を始めた。

 

 イスカンダル「そういえば、今日の会議は何だったかよく知らぬのだが、そなたは知っておるか?」

 山本「ええ、存じてますよ。今日の内容はですね…」

と、私が話しかけようとしたところ、横から人の好さそうな老人が現れ、会話に割って入ってきた。

 老人「あぁ、それなら【東京本部】からの議題が大体のないようだね。日本の戦国時代と中国の三国時代が混合した世界の調査報告、および今後の動向についてだ。」

 その老人の目を見ると、まるで子犬のような純粋な目をしている。この老人、すっかりおなじみの【毛利元就】その人だ。そもそも彼自身、その混合した世界から来た人物の一人で、現在は時空省で働いていることも読者諸君承知しているだろう。

 

 イスカンダル「おお、そなたを見て思い出したわ!今回の議長殿! 話はかねがね聞いておるぞ。何やら、そなたの時代の英傑たちは相当苦労なされているらしいが。」

 元就「いやぁ、【人間万事塞翁が馬】ってことわざがあるんだけど、辛いことだけじゃなくて、今は本当に幸運に恵まれていると思っているよ!何せ、これだけの英雄に囲まれるなんてもう死んでもいい!!…いや、死んだらいけないけど。」

 彼の前向きな精神に山本らは感服した様子でいた。あの世界で相当な苦労をしているはずなのにも関わらず、よくそういった考え方ができるものだということを率直に思うのであった。 

 イスカンダル「ほお、さすがは議長殿ともなると貫禄が違いますな!…さて、わしら二人は別の席に移動させてもらおう。ほかにも話してみたい者たちがおるゆえな。行くぞ!マキャベリ殿。」

 二人はそのまま別の席へ移動し、山本は元就と二人になった。山本はあたりを見回す。まだ辺りは華やかな雰囲気が残っており、皆色々と話しあっている。偉人たちならば、自分たちのいた時代の話や武勇伝を、26世紀の人たちは、同じように自分たちの時代の話や、偉人たちの話を聞いたりしていた。