第三章 黒い剣士5

辻谷たちも、神父たちに自己紹介をしたのち、アンデルセンから「このまま外にいるわけには良くないでしょう。どうぞ、こちらへ。」と車の中へ入るよう促されるような形となったので、国籍のまったく違う4人組はそのまま立派な車に乗って移動を始めた。

さて、こちらのアンデルセン神父という男について、作者である私が簡単に説明しよう。彼は、ヴァチカンの保持している戦闘機関に所属している人物で、仕事内容は【キリスト】に仇名す怪物や悪魔を退治するというものだ。エクソシストとは違うが、似た機関ではある。ちなみに、この作品に登場した【言峰】とは別の機関の所属である。しかし、神父であるということはカトリックであるということは間違い無い。

話は再び元に戻る。車を運転する神父とその横に座る辻谷、その後ろに座る二人の青年は一体どんな話をすればいいか考えている。

 アンデルセン「おや、みなさんどうされましたか?街につくまで何か語らいませんか?」

と紳士的に話してくださる神父であるが、語り合える仲間が今のところ【ヴァンパイアハンター】のリヒターだ。ちなみに、我々は他の協会から派遣されたヴァンパイアハンター一行として時空省の【21世紀担当の方が】自分の身分を隠して説明している筈。しかし、武術家である我々二人はどう思われているのか?

 

 アンデルセン「おや、そちらの武術家と警察の方もそう固くならずに何かお話しませんか?」

…どうやら、そういう風に見られているようだ。しかし、道着を着ている陸奥なら武術家に見えるが、トレンチコートの私はそう見られないらしい。しかし、警察に間違われたのは【刑事コロンボ】のせいだろうか?…いや、少し時代がずれるか等と辻谷は自分の脳内でそんな会話をしていた。

そんなことより、彼は他のことを語りたかった。

 辻谷「そうですね、もし語り合うとするなら、あの正面にいる真っ黒い格好をした人を何とかする必要があるんじゃないですかね?」 

それは、丁度道のど真ん中を歩いている全身黒で覆われた屈強な男に関することである。

 アンデルセン「おおっと、危うくひき殺すところでした。一体【車道の真ん中】を歩くとは、彼は何を考えているのですかねぇ?」

 辻谷「え、えぇ。確かにその通りですね…。」

危ないところであった。あの男、アメリカ合衆国時空省大臣閣下が話していた通りなら、この世界とは違う、【車がない】世界から来た男である。それ故、車道なんてことは当然知らないだろう。どうやら、黒い剣士も辻谷達が乗っている車の存在に気づいた様だ。

 黒い剣士「ん?なんだ、こいつあ?人が乗ってるみてぇだが、なんだか分けわからねぇもんだな。」