異世界侵攻録 幕間 2-1

しかし、聞いた話を語るにしては、かなり長話となってしまった。一応、ことの真相は元就公ともう一人、この場にいない【とある】人物に聞いたのが大体である。そのため、部分的にしか分からないところが多いが、この話ももうすぐ終わる。

 ヴァレンタイン「ほう、今までの話を聞く限り、敵には私と同じ【スタンド使い】がいることがまず分かった。」

 山本「そう、敵には他にも強力な魔術を使うものや、屈強な肉体を駆使したもの。その他にも、頭脳を用いて戦うものなど、多くの敵が様々な方法を用いて我々を待ち構えているといっても過言ではないだろうね。それに、敵さんは時空省及び国連の【時空機構】に対してもう間もなく正式に【宣戦布告】をするという情報が先ほど【本物の長官】及び【大臣】から連絡があったよ。」

 辻谷「そうか。今の話で、敵の狙いが何か少しは分かったよ。…まさか、ライフストリームが各地に散らばるなんて、そんな話信じがたいが、事実なんだろうな。」

車の中に漂う暗い雰囲気。しかし、他の車に乗っているメンバーの中には、というよりは、ほとんどがライフストリームについて理解していないようであった。

 

 式「なぁ、ちょっと聞きたいんだが。さっきから出てくるライフストリームって一体何なんだ?オレにも詳しく説明してくれ。アーネンエルベであってからの仲だろ?しかし、その上あんなことやこんなことに連れまわされた俺の身になってみろ。」

 山本「ああ、そうだったな。…冬木の件では世話になった。クーフーリン兄貴もすまない。迷惑かけまくりだし。」

クーフーリンとは、ランサーと呼ばれていた男の本名である。かつて、アイルランドにその名を轟かせた英雄と同じ名のこの青年は、気にしてないと言わんばかりの態度だった。【以下、ランサーで名称を統一する】

 ランサー「ま、いいけどよ。あの事件は、お前さん自身を見つめなおすには良かったんじゃねぇかな。その時の話はあとで自分の口から話しゃいい。」

そう言って笑顔で返すというのは、彼の人間の大きさというものからだろうか。