泥田坊 6

彼の声に不思議と力が入る。それもそうだ。かれの目の前には、かの英雄たちがいるからだ。…とはいっても、どうやらかの事件を解決したばかりのご様子。本人たちには、本当の意味でまだ理解していないのかなと感じ取っていた。

 マシュ「マスター!これは私たちが未来で有名になれる大チャンスではないでしょうか!」

 立香「うん、確かにそうなのかもしれないけど、俺ははそんな必要ないと思う。寧ろ、皆にこのことを知られない方がいいと思うな。あの冒険は、あの旅は、僕たちだけの経験にとどめてておきたいんだ。」

 

そう、彼の言う通りだ。あの事件を知っているのはほんの一握りの人間だ。普通なら、そのことを周りに知らしめたいというのが人間の性なのかもしれない。しかし、そうではないからこそ、彼は人類史を守ることが出来たのだ。彼は、ごく普通の青年である。だからこそ、周りのいうことを素直に受け入れ、純粋だからこそよかったのだ。

 

 マシュ「…そう言われてみればそうですね。だからこその先輩です。というわけで、山本さん。このことは内密でお願いします。」

 山本「はは、内密にか。そうだね、このことはこそっと話しておくぐらいにしておこうかな。…さて、そろそろカルデアへレイシフトしに行こう。話が長くなってしまったから更に疲れちゃったかも。」

そうして、カルデアではレイシフトの準備が整ったようだ。ロマンが驚いたのは、山本のその秘めたるその能力である。

 

 ロマン【…ふむ。これは驚くべき能力だ。…もしかしたら、彼になら私の力になってくれるかもしれない。…このすがたでいられるのも、彼らに私の秘密を隠し通せる時間もない。】

 ?【その心配ならいりませんよ。あなたがDr.ロマンではないことはもう既知のことですから。】

どこからともなく声が聞こえてきた。あたりを振り向く××××は、再び驚きを隠せないでいた。

 

 ロマン?【まさか、テレパシーなのか?私の仲間だったものでもわずかしか使えない能力なのに】

 山本【いえ、この能力はあまり使いたくはないのです。この力は、忌まわしき力なのですから。寧ろ、貴方の力の方がずっときれいなものを感じます。】