泥田坊 12

どうやら、そういうわけではないらしい。彼女は右手で否定のジェスチャーをする。というより、彼女は彼にむしろ興味を持っているらしく、彼から色々と聞きたいことがあるらしい。まずは、カルデアについて聞きたいとのことだ。

 

 マーリン「そのためにここまで来たのかい?いや、いくらなんでも彼らと敵対している相手に話すのはどうかなぁ~。…いいんじゃないかな!!」

いいんだ、と彼女はどのようなリアクションをとったらいいのかわからないのか、たじろいでいるのだ。

 ゼーナ「いいのかしら?何せ、私は敵側なのよ。そんな相手にいいのかしら?」

 マーリン「大丈夫だ、問題ない。といっても、君たちに有利なことは一切話すつもりはないよ。だって、そっちの方が面白そうだし。」

 

成程、この男、自分が面白いかそうでないかで決めてやがる。恐らく、ほかの人間とは完全に異なる神経をしているのだろう。そういう点では、ある種大物か。

 

 ゼーナ「分かったわ。私たちに有利なことは話さなくて十分よ。その為に今日は来たわけじゃないのよ。寧ろ、私はあなたと同じ人種みたいなものよ。」

 マーリン「じゃあ問題ないね。それでは、かの英雄の物語について説明しよう。」

 

そもそも、あの青年がどのように人類を救ったのか。そこから説明する必要がある。時は、2015年。人類の未来を保証する観測機関【カルデア】。その組織は、2016年に人類が滅亡するという結論に達したのだ。

 

 ゼーナ「いきなり大きな話になったわね。あの人類が滅亡するということなの?」

 マーリン「そう、いきなり話が大きいね。でも、それは純然たる事実だったんだ。まぁ、無事に乗り超えられたからよかったんだけどね。」