妖怪退治 中 2
アル「そうだね。…ああ、自分たちが信じていたものが崩れていくね…」
科学こそ絶対だった若い二人にとって、ここ数日のことはまさに嵐である。ただ、今はこうして錬金術が使えるだけでもよしとしているのであった。
そういえば、自分たちがこの世界で何故錬金術が使えるのだろうかと、エルリック兄弟はふと疑問に思った。この辺り、SFにあまり詳しくない二人は、平行世界でも問題なく自分達の世界と同じような感じで力を行使することができるのか不思議である。
エド「そういやそうだなぁ。なんでなんだろ?普通、こういった場合は全く何もできずにただの凡人状態になるのがオチだよなぁ。」
瓦礫の山をかたずけながら、エドワードは考えてみる。体を動かしながら考え事をするとよいというワードをふと思い出した彼は、色々考えてみた。が、しかし、結局何も思いつかないのが関の山である。
エド「駄目だ。瓦礫を片づける前に何も思い浮かばなかったなぁ…。」
アル「そうだね、気付いたらもう夜になってる。」
空を見上げると、宙【そら】にはきれいな星空が広がっていた。この辺りは、都会からちょっとだけ離れた山の近くにあるからだろうか、綺麗に瞬いてきた。
エド「おっと、こんな時間か…さて、周りは作業を止め始めたし、俺たちもそろそろ時空省の中に今日も泊まらせてもらおうか。」
アル「うん。そうだね兄さん。…ん?あれ、宇和島さんがこっちに近づいてる?…どうやら、手招きしてるみたいだけど?」
エド「どうやらそうみたいだな。ちょっと行ってみるか?」
兄弟は、彼女のほうへと向かう。どうやら、彼女から何か言いたいことがあるようだ。何故なのか、彼女はものすごくにやにやしている。何か楽しいことでもあったのだろうか?