逃亡劇、そして復活 11

さて、そんなこととはつゆも知らない山本誠一及びその救出隊、そして彼を取り囲む悪役連中の話に戻ろう。山本から発せられた魔力の爆発現象により、結界は木っ端みじんになり、彼らの姿は白日の下に晒される。そして、山本は、この結界を作り出したケフカに詰め寄る。その顔は、阿修羅のごとく、目の前の道化を呑まんとする迫力で迫っていた。

 

 山本「あぁ、やっぱりさ。わかってはいたさ。…でもな、道化師さん。あんたは俺の触れてはいけない傷に、地雷に踏み入ってしまったんだ。…来いよ、なぁに、決して殺したりはしないさ。ただ、お前に一生忘れらないトラウマを植え付けてやる。覚悟しろ…!!」

 果たして、このような恐ろしいものを見たことが自信にあっただろうか。ケフカは己に問いかける。楽しいと思ったことはあった。つまらないと思ったもあった。恐らく、精神が崩壊している彼には理解できなかっただろうが、もうすでに遅い。彼は、山本の精神を折るつもりだったが、逆に、彼の本気を出してしまうほどのことをやってしまったのだ。

 

 ケフカ「な、な、なんてこったぁ。こいつ、俺の想像をはるかに超えてやがる。…そうか、そうだったのか。」

ケフカは目の前に吹き荒れ始めた、あたかも大自然の驚異に真っ向から立ち向かおうとする気分に見舞われる。そう、山本の能力というのは、単にあらゆる魔術や魔法を習得したというだけではない。それに、膨大な魔力量というのもあくまでおまけである。彼の力は、この地球、いや、あらゆる世界に存在する【マナ】と呼ばれる魔力の源を実質【使い放題】できるという途方もないものだった。