逃亡劇、そして復活26

 

 さて、そのころこの戦いを仕掛けてきたほうはどうなのか。こちらはこちらでよろしくない状況となっていた。

 マダラ「…相当徹底的につぶされたという訳か。…さすがは米国を裏から操る男。想像以上にやってくれたな。これでは、あの空間を観察できなくなりかねん。」

 ゼーナ「ええ、どうやら基地を分けておいたのにこれできつくなるわね。冬木の大穴とここ新都の基地で役割分担をするはずだったのに、すべての情報機関を大穴に集めなくちゃいけなくなったわ。」

 マダラ「ギース・ハワード。これで我々の力をそぐという訳か。…貴様の思惑通り、こちらの力は削がれた。…仕方がない、ここは【限定月読】で作った【あの世界】へ奴を再びやるとしよう。」

 ゼーナ「そうね。…いったん逃がしてあげるふりをしてあそこへ再び送り返しましょうか。…でも、良くばれなかったわね。それだけ完成度が高いというわけかしら。」

 

マダラは仮面の下で恐らくにやりと笑ったに違いない。それだけにマダラの作りし幻術【限定月読】は強力な幻術なのだ。

 …とは言っても、限定月読は只の幻術ではない。…もはや幻術の類では測りきれないほどのものなのだ。

 

 限定月読。それは自分の望む世界を作り出してしまうというマダラの幻術の中でも強力なものである。しかも、術者であるマダラはこの幻術に干渉することができてしまうのだ。ただし、世界の創造主とまではいかないようで、限定月読で起こるイレギュラーな事態には対処しきれないという欠点はある。しかし、それを除いても恐ろしい幻術だ。