拳を極めしもの 7

猗窩座と豪鬼は、互いに構えをとる。豪鬼は、ただ相手をじっと見極めるという体裁をとるのに対し、猗窩座は何か始めるようである。

 猗窩座「術式展開 破壊殺・羅針」

と唱えると、拳闘の構えをとった猗窩座の足元には、雪の結晶をした陣が展開され始めた。

 豪鬼「む?」

豪鬼も始めてこのような物をみたというリアクションをとる。そのまま観察してみると、どうやらその陣に、漢数字で【壱】から【拾二】という文字が刻まれてはじめた。

 豪鬼「…ふむ。それがそなたの技か?」

 猗窩座「ああ、厳密にはその一部だ。本当の力は…」

一瞬のことだ。気づいた時には豪鬼のすぐ背面をとった。

 猗窩座「今から見せるてやる。…とっ!」

豪鬼も驚くべき反射神経かつ凄まじい身体能力で相手の拳打を防いで見せる。猗窩座は、相手が思った以上に俊敏な動きをとったため、すぐに間合いを広げた。

 猗窩座「へぇ~。これだけ動ける奴は今まで出会った柱でもいなかったなぁ。…こいつは、久しぶりに楽しめそうだ。」

 豪鬼「うむ、我も血がたぎってきおる。久しぶりに良き死合とりそうだ。」

 

互いに己の限界を超えるため、日々修練を重ねる者同士。して、高みへ到達せんとする二人だからこそ味わえる楽しみがいまここに始まった。