拳を極めしもの 16

 猗窩座「…なんだ、あっけねぇなぁ。まぁ、流石にあれだけの技を同時に食らえば跡形もなく消し飛んでも…」

突如、猗窩座は違和感を覚える。急に首のあたりに痛みがしたような気がしたからだ。

 

 猗窩座「ん?気のせいか?痛みが走った気がしたが?」

と、後ろを振り返ったものの、誰もいない。と、おもったら、今度は足に痛みが走った。ということで今度は足を見ると、やはり誰も…と、今度は二撃の打撃を、と思いきやその次に三度の打撃を感じた。

 猗窩座「…まて。そんな馬鹿な。いや、まさか。」

猗窩座は、次第にその正体に気づきつつあった。そして、それに気づいた時にはもう既に手遅れとなっていた。

 

目の前には、千手観音のごとき構えを取り、いや、千手観音その者とかした豪鬼が正面に立ちふさがっていた。

 一瞬千撃抜山蓋世 鬼哭啾啾故豪鬼

瞬獄殺。それは、猗窩座の百撃を上回る、一瞬のうちに千撃の拳打を打ち出す究極奥義である。その技を受ける瞬間、相手は千手観音のごとき豪鬼の姿を見ることになる。ただ、技を受ける者以外、外野からは急に豪鬼が相手に近づき、激しい打撃音がしたのちに仁王立ちして背中に【天】の文字が赤々と光り輝く豪鬼が見えるのみである。