拳を極めしもの 8

 次に始まるは打撃技の応酬だ。豪鬼の右ストレートを体を軽く左に傾けた躱した猗窩座は、その体の傾きを利用して右足で回し蹴りを放つ。が、豪鬼はそのまま打撃を両手でブロックする形で受け止め、相手がバランスを崩したと見るや、そのままみぞおちを目掛けて右手で下突きを繰り出す。が、猗窩座は、豪鬼が両手で自分の右足を受け止めていることを利用し、相手の腕を蹴るような形をとることで後ろに飛んで逃げることができた。以下、掛かった時間は1秒を超えたぐらいであろうか?

 

 豪鬼「ぬ!」

 猗窩座「へへっ!」

凄まじい戦闘である。互いの技の威力は、基礎的なものであっても恐らく必殺技ぐらいの威力がありそうなものだ。豪鬼は相手の技の切れに感嘆し、また、猗窩座は強者と相まみえて楽しそうだ。

 

 猗窩座「やっぱすげぇぜあんた。俺の打撃喰らってびくともしない奴は鬼殺隊の柱連中でもほとんどいなかったからなぁ。」

 豪鬼「そなたもやりおるわ。貴様の拳、間違いなく強者のそれであろう。」

互いに、今まで見ぬ強者に心躍っていた。そのままの勢いで、今度は猗窩座が豪鬼に仕掛ける。相手に拳打を浴びせると見せかけてフェイントを挟み、そのまま相手の胴着を握りしめ、上方向に投げ飛ばした。が、そのまま投げ飛ばされる豪鬼でもない。

 豪鬼「天魔空刃脚!」

それは、まさに人外の動きである。空中で受け身をとった豪鬼は、そのまま仁王のごとき構えを取りながら急降下し、足刀【つまりキック】を繰り出してきたのだ。