欺瞞 11

 女性「しかし、本当にここで間違いはないのでしょうか?」

 老紳士「間違いなく、ここであっている筈だがね?しかし、マスター君がいつもの調子でまた寝込んでしまった上、今度は多くのサーヴァントが行方不明。まぁいつものことならいいのだが、今回はそうもいかないかもしれない。で、巴君、ここに本当に敵が潜んでいるということで間違いないかね。」

 

巴と呼ばれた女性、山本は物の陰に隠れて彼女の真名について考察する。恐らく、服装から考えて10世紀前後の日本の人物、かつ武家の女性だ。恐らく、敵に襲われた時のことを考えて薙刀を獲物として持っているのだが、その薙刀からすぐさま理解した。

 

 山本【薙刀には2種類ある。ひとつは刀身が細い静型。もう一つが、巴御前からきた刀身が太い巴型。して、彼女が持っているのはその後者。それに、装飾に源義仲の家紋である五七の桐紋が描かれているから間違いないだろう。】

 

推測通り、一人は、源義仲に仕えていたという女武者巴御前で正解である。一人で千人力とも称された人物で、大変な美人であったと言われている。一説であるが、鬼の混血とも、彼女の母親が龍神の子供を宿し、それが巴であったという伝説がある。…まぁたしかに、敵武将の首をヘッドロックでねじ切るとかいう話もあるので確かに人外じみた部分はあるだろう。