欺瞞29

 モリアーティ「そう。かの魔術王と同じく、違う形で人類を救済しようとした怪物という事らしいね。何せ、人の形はしているが、それはあらゆるものを超越したような存在。それが彼という事であっているかな?」

 

山本は首を縦に振る。…そう、かつて、時空大戦を引き起こし、この地球に変革をもたらそうとした者。その那由多銀河が作り出したのがこの空間ということらしい。

 山本「ええ、教授の言う通りです。…ですがかの大戦を実際に見たことはありません。何せ、自分が生まれた75年前の話です。…ええ、たとえタイムマシンを使うことが出来たとしても、時空の歪みがひどすぎて決して行くことが出来ない場所ですから。」

 

そうなのである。時空大戦が行われた、西暦2450年。丸一年ほどかかったこの時代へは、時空の歪みが激しすぎて決して到達することが出来ないのだ。それほど那由多銀河の力は恐ろしいものなのである。それほどの怪物が残したこの空間。すなわち碌なことは少なくともないだろうという事はすぐさま理解した。しかし、敵の首魁はこれをどう利用しようという事なのか。山本の話を聞いてモリアーティーは考え込む。

 

 モリアーティ【さて、一体その怪物の力を利用するというのは何を考えているのか?とにかく今は敵の情報が少なすぎるから、先に進みながら調査する必要せいがありそうだ。】