欺瞞31

そのころ、人理保証機関カルデアの中に突如発生した空間【阿僧祇の闇】。その最奥に存在する一つの場所がある。そこに、この空間を利用し、山本たちを試そうとする者がいた。

 ?「どうやら、客人がまみえたようだ。あの男にこの空間を好きなようにしていいと言われたが故に、自由にやらせてもらっているが。…なるほど、この空間はまさしくこの星の、人間という存在が生んだ淀みの集合体という訳か。しかし、奴が言った通り、ここだけは違うようだ。」

 

その者は、今自分がいる場所を見渡す。基本的には、砂嵐が広がっているだけなのだ。が、これが面白いことに、その者がよほどの破滅的にならない思考の範囲内なら、今彼がいる場所のみ、使用者の思い描いた通りに変異していくのだ。ということで、早速この場所に、この空間を見るためのモニター室を作ろうと考えた。すると、あっという間にモニターが立ち並ぶ一つの部屋が出来上がった。

 

彼は、試しに中に入ったが、まだほんの僅かしか、彼を含めまだこの空間に足を踏み入れていないからだろうか。どうやらいくつかモニターがあるようなのだがほとんどが砂嵐の映像を映すのみであった。