再臨・片翼の天使 ノウムカルデア 71

オベロンは、もう一度しっかりこのカルデアに戻ってきた時のことを思い出す。レイシフトから戻って来た彼らに待ち受けていたのは、敗北したギリシャ勢の血糊で浸されている床、その後に、二人が見たのは黒い剣士。

 キャストリア【なんていうことに。…あいつがカルデアを襲った謎の剣士…。おぞましいことこの上ない。】

 オベロン【ああ、ひどい光景だ。…出来るだけ近づかないようにしよう。まずは、情報収集だ。…ん?】

と、その時、二人は見てはいけない物を見てしまった。それは、彼の横にいた博士だ。彼女の心の中を覗いた二人。

 キャストリア「…あれ?あれれ?あの女の人を見ていたらこんな所に?」

どうしたのだろうか、二人は先ほどまでカルデアにいたはずだったのだが、気づいたらどこかのラボラトリーに移動していた。

 オベロン「いや、先ほどまで確かにカルデアに戻ったはずだ。あの地獄のような光景を見たはずだったんだけど、もしやこれは彼女の心の中なのか?」

 

それでもかなりリアルすぎる。巨大なメスシリンダーのような培養器、複雑に天井を覆う無数のケーブル、バイオハザードの記号があちらこちらに見受けられる様はもうそれはそれは異様な光景だった。そして、よく見るとその培養器の陰に、仮面をかぶった謎の黒マントの男がこちらを見ていることに気付いた二人は、思わず構えてしまう。

 ?「まぁ構えるのも仕方がない。安心しろ、俺はお前たちに敵対心は持っていない。…が、噂は本当か。そのまま俺はもとの居場所に帰ろうとしたが、お前達が来たということだ。そこで、幻術を利用して少々俺の意識を彼女に仕込んでおいただけさ。」