冬木編 はじめはアインツベルン城7
山本「どうしたクラウド!?いや久しぶりの再会だと思ったらくたくたになって…。」
クラウド「ちょっとそこのメイドさんとお長い話になりまして…。」
どうやら、ずっと小言を言われてたらしく、性格的にもあまり陽気とは言えないクラウドにとっては相当地獄だったろう。
山本「たいへんだったね。…いや、自分もこんな状況だからお互いか…」
クラウド「うーん。どちらかといえばあなたの方がたいへんだったのでは?…あれを食らった形跡があったのですよ、あなたの体に。」
やはり、あのイケメンにずっと追いかけまわされているだけはある。一体彼がどういう技を受けたのか、すぐにわかってしまうようだ。
クラウド「心無い天使か、あいつ、その技を使った後にどこかへ飛び去ったか。」
山本「ん?君はセフィロスに合わなかったのか?また何かポエム的なものを言われなかった?」
が、しかしてどうしたことか、彼はセフィロスに遭遇していないというわけだ。
どうやら彼がそうとするならそうなのだろうと思おうとしたとき、どこからともなく声が聞こえた。
六道仙人「そのようなことは一切合切無かった。次官殿、わしがいうことは以上だ。」
一緒に帯同していた仙人が言うなら間違いない。というかいらしていらっしゃったんですね大筒木ハゴロモ様。
冬木編 はじめはアインツベルン城6
山本「それならこちらで何とかしましょう。…問題は、この城に誰が残るか?」
イリヤ「そうね…。その前に、あなたのことについて聞かせてほしいわ、お兄さん。」
山本「お、お兄さん。」
今度は屈託のない笑みを浮かべながらこちらを見つめる少女。…それならと今まで何が起こったのか簡潔に話す、彼女は最後まで話をしっかり聞いてくれたところ、所感は。
イリヤ「何それいろんなことが起こりすぎじゃないかしら?というか、あなた本当に未来人なのね。あなたの持っている道具をいくつか見せてもらったけど、ほんと、SF世界からそのまま持ってきたって感じの物ね。間違いなく、魔術的なものではないとわかったから信じましょう。」
山本「これはこれは、ありがとうございますお嬢様。」
とこちらは紳士的な礼をする紳士。伊達にお偉いさんではないということを示す動きだ。イリヤは、話を着ているうちに、山本が寝込んでいた病人用のベッドに追いかかっていたようで、そこからぴょんと軽く飛んだ。今度は先ほどと反対側に立ったかと思うと、そのまま反対側にあったベッドに座り込みながら山本に話しかける。
イリヤ「それにしても、偽の冬木の私はやたらお人形さんみたいね。生きてるって感じがしないもの、話を聞いてる限り。」
山本「ま、確かに今考えるとあまり人間味はなかったかな?今の君は、まるで美しい雪の妖精みたいだ。」
どうやら、その言葉を聞いて顔を赤らめてしまったようだ。小悪魔っぽいところもあるけど、割と根っこの部分は素直なのかなーとかおもっていたら、何故かヘロヘロになっていたクラウドが部屋に入ってきた。
冬木編 はじめはアインツベルン城5
などと言いながら、確実に目的地へと確実に近づいていた。
そうして夜も更けてきた冬木の町のはずれの森。誰にも知られない筈の秘密の西洋風のお城に…まさかの大人数がやってくるとは思ってもいなかっただろう。
?「しかし、どうしてこのようなことに!全く、こまります!これだけのお客様を相手しなくてはならないお嬢様のことを考えていただかないと!」
張遼「そうは言われましても…」
クラウド「俺たちを連れてきたのはこのお城の主の筈…なのですが?」
と、この城で働いているメイドさんである【セラ】という人物に対して困る二人。仕方がない、一応、これだけの人数を受け入れてくれたのはこの城の主【イリヤスフィール】なのだから。かなり大声で話しているせいか、通路越しに山本がいる部屋まで聞こえてきた。
山本「あの…大変申し訳ないのですが、本当にこのお城に我々いていいんでしょうかね?」
イリヤ「まぁ、流石に人数が多すぎるから、ある程度は外で野宿してもらおうかしら?」
…なるほど、こちらが本来のイリヤなのだろう。こんな小悪魔じみた顔で見られたら、こちらは返す言葉がない。が、それは何とかなりそうだ。もう間もなく、時空省から荷物が届くらしい。どうやら、人間は未来からこの森に直接送れないと来た。そこに、一応25世紀製の四次元テントが来るらしいので何とかなるだろう。
冬木編 はじめはアインツベルン城4
そして、最後のセリフを言ったのは【ワイ・アット・アープ】。偽の冬木にて山本たちを襲った刺客。その正体は、那由多銀河が召喚したサーヴァントだ。その在り方は、生前とは反転し、西部のガンマンとしては変わりないが、悪漢を狩る側が悪漢になってしまったというところだ。
彼について解説する前に、【OK牧場の決闘】という話を聞いたことがあるだろうか?西暦1881年10月26日。場所はアリゾナ州のトゥームストーンという町で起こった。バッファロー狩りで名を馳せ、その腕を見込まれ保安官となったワイアットは、土着の悪漢を討伐するために牧場の馬のつなぎ場で銃撃戦となり、勝利。のち、ハリウッドで映画化され人気を博す。…表向きは。
それはあくまで彼がハリウッドで指導員として自信を売り込んだ時に言った話であり、真実は違う。今は【ガンナー】もしくは【アーチャー】と呼んでくれて構わんと言っているが、それは表向き。真の彼のクラスは【■■■■■ー】。それはすぐさま語られることになる。
そんな五人は、アインツベルンの森にあるありとあらゆる罠仕掛けを突破しながら森を突き進む。
桃白白「それぐらいしてもらわねばいかんよ。罠を破壊するのは別料金だ。話によれば、罠を破壊すればそれだけボーナスを出してくれるという話だ。」
君麻呂「ふむ。あの人気前がよさそうだからね。まぁ、大蛇丸様に比べればどうかとは思うけど。」
冬木編 はじめはアインツベルン城3
那由多銀河「あ、そうそう。そろそろ、アインツベルン邸に5人の刺客が到着する予定なのだが…」
マダラ「奇遇だな。俺は今からそれを見に行く予定だ。お前はどうするつもりだ?」
那由多銀河「私が表舞台に出るのはいささか早すぎるのでな。楽しんで来い。そして、あの男の本気を見ることだ。」
那由多銀河はそうして彼を送り出す。どうやら、彼なりに次の手を考え始めたようだ。
さて、山本たちがアインツベルン邸に付く少し前のこと…。同じくアインツベルンの森の中。
?「危険な罠がいっぱいあると聞いていたけど。思ったより敵が弱い。これでは殺し屋始めて20周年記念キャンペーンが裏目に…」
??「…話に聞いた通りの人だね。」
???「じゃな、忍びよ。こやつは人間の中でも中々強欲よな。あ、矢琶羽もそう思うようだな。」
????「俺もそう思うぜ鬼さん二人。西部のアウトロー連中より強欲極まりない。」
さて、上から人物を解説しよう。最初は久々に登場の桃白白【と書いてタオパイパイと読む】。元居た世界では最強の殺し屋として有名であるらしい。かつて、とある人物にやられてしまったものの【半分は自業自得だったが】那由多銀河によって復活させられたらしい。上から二人目は君麻呂。こちらは忍びの世界から来た少年。体の骨を自由に操ることができる。
上から三番目の人物…というより鬼は朱紗丸。どう考えても鋼鉄製としか思えない性能をした毬を投げたり蹴ったりすることで攻撃する。因みに
手に平に目を持つ矢琶羽という鬼とコンビを組んでいる。矢琶羽は、その手のひらについている目を開閉させることにより、赤い矢印を出現させ、物体のベクトルを自在に操れる。
冬木編 はじめはアインツベルン城2
そして、銀河は指を鳴らすと、部屋の様相が一変する。今度は、部屋全体がプラネタリウムのように変化した。どうやら、今度はどこかの銀河系の様子が映し出される。
那由多銀河「遠い昔、遥かかなたの銀河系。前にも話したと思うが、そこには、銀河を守る騎士団がいた。そう、どうやら、何億の年月を経て復活したものがいたらしい。」
煌々と輝く美しい星々が渦巻くそれを見て、那由多銀河はそうつぶやいた。
マダラ「…まさか?お前が言っていた。」
那由多銀河「そうだ、どうやら、恐れていた事態が発生してしまったらしい。」
マダラ「い、いや。そんなことがあるのかね?…いや、存在するだけでありうる可能性を捻じ曲げる男が目の前にいたか。」
那由多銀河「そうだ。宇宙の塵に等しいあのシスの暗黒卿を英霊召喚を模した儀式で復活させたのも、このあらゆる並行世界に戦争を吹っ掛けることができるのも、この私が因果律を捻じ曲げることができるからこそ。…が、デメリットがここで発動したか。が、問題はない。そのためのシス卿たちを復活させたのだ。何か起こればすぐに向かわせる。」
といった彼に対し、マダラは、それで解決できればいいがな。とだけ忠告した。そのまま彼はその場から立ち去る間際に
マダラ「もう無限月読は当分使えん、あとはお前で何とかするしかないぞ。」と忠告する。
が、不思議と銀河は余裕の笑みを浮かべるだけであった。何か、楽しみにしているかのように。
冬木編 はじめはアインツベルン城1
そう、彼らが冬木に来たのは【これが初めてなのだ】
マダラ「そう、あの黒いブラックホールのような物は全て限定月読へとさそいこむためのもの、そもそも、あの冬木自体も俺の限定月読によって作られた代物だ。まあ、森から脱出されたときはどうしようかと迷ったが、変化の術で俺が別人に成りすましてデスシティーに侵入したおかげで偽のカルデアに呼び込めたからよかったが。」
那由多銀河「お前は本当にすごい男だなマダラよ。ほぼほぼお前が時空省の者どもを弄んでいるな。」
マダラ「まぁそういうことになるか。が、あのランサー、どうやってあの空間に入ってきた?いや、俺の作り出した空間のバグか?」
那由多銀河「どうやら、そういうわけではないらしいぞマダラよ。どうやらあの槍兵をあの空間に転移させ者がいたらしいな。」
この世のどこでもない空間にあるという那由多銀河の部屋。壁にはあらゆる並行世界の様々な状況が映し出され、窓にあたる部分は宇宙を望むことができる。そんな部屋…と呼ばれるにはどうなのだろうか分からないが、その空間の中央にある円卓で互いにコーヒーを飲みながら語り合っていた。
マダラ「ほう?誰だそれは?」 那由多銀河「おそらく、うち一人は六道仙人だな。ほら、私が作った【時空石】?今は地球の時空省にあるというではないか?それが呼び出した異界の英雄。大筒木ハゴロモの仕業だ。」