再臨・片翼の天使 ノウムカルデア 73

オベロン【足が重いなぁ。なんでだろ?これ以上、先に進みたいのに、進めない。】

誰もいない廊下を進むオベロン。するとどうだろう、しばらく進むと思い出した先ほどの光景…謎の研究室で会話をする三人がいた。

 オベロン「ああ、あの時の…思い出してきた。そう、あの日マスターに会いに行こうと思ったらこんな場所に突然ワープしてたんだったか?」

 

どうやら、丁度マダラとオベロン、そしてアルトリア・キャスターが会話を始めるところだった。

 マダラ「自己紹介がまだだったな…俺の名は【うちはマダラ】。お前たちが知る汎人類史や異聞帯、そして特異点いずれでもない完全な異世界の者だ。」

と、仮面のしたからのぞかせる不思議な文様をした目【万華鏡写輪眼】をのぞかせながら二人を見つめるマダラ。…いやぁ、今日はいろんなことに出会える良き日だなと。

 オベロン「…なるほど。今回の事件の黒幕は君…というより君の上司かな?」

 マダラ「上司…というのはやや語弊がある。まぁそんなところだ。【あいつは縦のつながりを嫌うがな】セフィロスはもう十分といっていいほど暴れた。後は、カルデアのマスターと直に話したいが…恐らく、最後の抵抗がそろそろ始まる頃だ。おとなしくしておけばいいものを。」

再臨・片翼の天使 ノウムカルデア 72

そのまま仮面をつけた黒マントの男【うちはマダラ】はつかつかと二人に近づいてきた…という所までオベロンは思い出す。

 オベロン「どうなっている?じゃあ、今このボイラー室は一体…」

と頭を抱えるオベロン。

 沖田「どうかしましたかオベロンさん?」

 オベロン「いや、何でもない。悪いけど、一旦外へ出る。」

と気持ちが悪くなってきた彼は、そのまま部屋の外へ出ることにした。そのままオベロンは、よろよろと急に足取りが重くなることを感じながら、そのままどこかへと向かう。

 沖田?「はぁ~行ってしまいましたねぇ?…そのまま先に行けば思い出すというのにな。」

沖田…いや、変化の術で彼女に化けていたマダラは、彼を追わずにそのまま【■■■■】を起こすのをただ見守るだけにした。

 

 マダラ「さて、あいつには精神世界で偽りのあの日を延々と繰り返すようにしたが…。そろそろ思い出すか。まぁ、もう何万回と繰り返したのだ。あの幸福な時間も、もう終わり。あとは、あの少女共々、すべてを終わらせよう。」

さて、あの日の真の結末はどういう展開を迎えたのか?オベロンは、重い足取りであの日を思い出そうと必死だ。が、それと同時に何も思い出したくないという心理的ブレーキも作用し始めていた。

再臨・片翼の天使 ノウムカルデア 71

オベロンは、もう一度しっかりこのカルデアに戻ってきた時のことを思い出す。レイシフトから戻って来た彼らに待ち受けていたのは、敗北したギリシャ勢の血糊で浸されている床、その後に、二人が見たのは黒い剣士。

 キャストリア【なんていうことに。…あいつがカルデアを襲った謎の剣士…。おぞましいことこの上ない。】

 オベロン【ああ、ひどい光景だ。…出来るだけ近づかないようにしよう。まずは、情報収集だ。…ん?】

と、その時、二人は見てはいけない物を見てしまった。それは、彼の横にいた博士だ。彼女の心の中を覗いた二人。

 キャストリア「…あれ?あれれ?あの女の人を見ていたらこんな所に?」

どうしたのだろうか、二人は先ほどまでカルデアにいたはずだったのだが、気づいたらどこかのラボラトリーに移動していた。

 オベロン「いや、先ほどまで確かにカルデアに戻ったはずだ。あの地獄のような光景を見たはずだったんだけど、もしやこれは彼女の心の中なのか?」

 

それでもかなりリアルすぎる。巨大なメスシリンダーのような培養器、複雑に天井を覆う無数のケーブル、バイオハザードの記号があちらこちらに見受けられる様はもうそれはそれは異様な光景だった。そして、よく見るとその培養器の陰に、仮面をかぶった謎の黒マントの男がこちらを見ていることに気付いた二人は、思わず構えてしまう。

 ?「まぁ構えるのも仕方がない。安心しろ、俺はお前たちに敵対心は持っていない。…が、噂は本当か。そのまま俺はもとの居場所に帰ろうとしたが、お前達が来たということだ。そこで、幻術を利用して少々俺の意識を彼女に仕込んでおいただけさ。」

 

再臨・片翼の天使 ノウムカルデア 70

彼らの他にも織田信長【本作では女性だが、性格は皆のよく知るあの信長公である。】やワルキューレ、妖精メリュジーヌ等が当たっていたが、中々突破口が開かれない。さらに、先ほど登場した森長可渡辺綱、エレナ・ブラバツキ夫人、ローラン、源為朝、フィン・マックールといった国際色豊かなメンバーが加わる…が、それでも勝てない。

 メリュジーヌ「だめだ!この化け物一ミリもダメージが与えられない!」

 エレナ「諦めたらだめ!それこそ敵の思うつぼ!私の魔術で足止めを…」

が、それでも通用しないのだ。何故なのかは分からない。だが、通じない。

そのあとも次々と助っ人が来るのだがやはり無駄。どうしたことなのか一同困惑していた。

 アルトリア「って、森君もうあちらにいらしているんですか!?」

 オベロン「もうなんかぐだぐだしてきたね…。もういいや、それより、彼らに手を貸しに行こう。アルトリアも一緒に彼女のもとへ…」

と、オベロンはジェノバのもとへ行こうとする。

 

 …いや?待て。この展開、前にもあった気がする。気のせいか?いや、気のせいじゃない。さっき、アルトリアと一緒に帰ってきた後、すぐに彼女のもとへ会いにいって先頭になったじゃないか?

…思い出したくない。そうか…そうだった。カルデアは負けたんだった。

再臨・片翼の天使 ノウムカルデア 69

言えることは、カルデアが誇る二人の天才であっても駄目なものは駄目状態だ。もうなすすべがない。この二人が敗北するところを、ただじっとモニターから眺めているしかないボイラー室の一行だった。

 土方「…最悪だな。あの二人でも駄目ということなら、もう全員であいつにたかるしかねぇんだが、あの女科学者…いや、そうだった者のせいで足止めされてんのがな。」

そうだった者…そういう表現の仕方をするのも仕方がない。その腕は、人間のものとは言えず、紫色をした触手を鞭のように振るい、ある時は魔術を行使し、ある時は目を光らせ相手を催眠にかける怪物【ジェノバ】と化していた。

 

彼女と対決しているのはケルト神話や中世ヨーロッパ勢【特に円卓の騎士やシャルルマーニュ十二勇士】が当たっているのだが…

 シャルルマーニュ「ちくしょー!デュワユーズ不調なのかってくらい傷つけらんねーなホント」

 アストルフォ「うーん、うまくいかないね王様?僕の攻撃もあんまり効いていないみたいだしどうなってるんだろうね?」

 トリスタン「私にもわかりません。ですが、どうしようもないということは理解できます。ああ、私は困惑しています。」

と、完全に諦めムードが漂っていた。

 

 ジェノバ「全く、人間の弱き事。ま、一部神々の血を引いている者もいるようだけど、結局の所この星の雑魚ね。」

再臨・片翼の天使 ノウムカルデア 68

彼の言う通り、ギリシャ勢はもうほぼほぼ戦闘不能となっているサーヴァントばかり、古代ローマ勢も加勢しているが、少々怪しくなってきた。

 土方「今、テスラとエジソンが向かっている。機械化歩兵を使って何とかしようとはしてるらしいが、ただ単に数だけでは無理かもな…っと、なんかもう爆音響いているな。」

残念なことに、彼の言う通りのことが起こっていた。

 エジソン「馬鹿な!!!私の機械化歩兵が一瞬で殲滅玉砕だと!!」

ホワイトライオンの頭に、某有名アメリカンヒーローを混ぜ合わせたようなコスチュームを着込んだ巨漢となっているカルデアエジソン【どうしてこうなったかというと、英霊としては弱かったため、歴代アメリカ大統領の英霊が力を貸しているため】は、自身の作った機械化歩兵百数十体が一瞬にしてやられたことに愕然としていた。

 

テスラ「何をやっとる凡骨が!!!ま、流石に仕方がない。あれはまさに化け物だ!」

比類無き天才。絶世の美男子。現代のプロメテウスである彼でさえ相手は驚愕だ。彼のスキルであるガルバニズムでも中々相手に傷を負わすことが困難だ。説明すると、生体電流と魔力の自在な転換、および蓄積。魔光、魔風、魔弾など実体のない攻撃を瞬時に電気へ変換し、周囲に放電することで無効化する。また、蓄電の量に応じて肉体が強化され、ダメージ修復も迅速に行われるようになる。生命活動を肉体に宿る電気で説明するガルバニズムの概念は、フロギストンやエーテルと同じく、錬金術のカテゴリーに属しているらしい…

再臨・片翼の天使 ノウムカルデア 67

 茶々「いや、森君ちょっと落ち着いて。どうせ特攻して血まみれになって帰ってくるの目に見えてるし。」

 森長可「ま、そうだな。ハハハハハハハハ、んじゃいっちょかちこみいってくらぁぁぁぁあああああ!!!!」

 

どうしてそうなるのか?仕方がない。彼のクラスはバーサーカー【狂戦士】なので、思考がだいぶ狂っているのだ。…というか、彼の場合生前からだいぶおかしいので詳しい話が知りたい人は彼について調べてみよう。カオスすぎるから。

 斎藤一「もういいや、話の腰折れすぎなので話を戻しましょう。…しかし、なんなんですかあの二名?化け物なんですかねあれ?」

 茶々「茶々も正直わかんないしその辺。突然襲ってきてまじふざけてると思うんだけど?」

 

その横で先ほどまで沢庵をボリボリ食べていた新選組副長【土方歳三】が加わる。どうも、あの謎の剣士について何か言いたいことがあるようだ。

 土方「まあ、確かにふざけてると思うぜあの剣士。っと、ここからは俺も話に加わるぜ。」 

 斎藤一「あ、副長。先ほどまで沢庵食べてませんでした。」

 土方「ま、そうだが、さすがにそういうわけにはいかなくなってきた。希臘【ギリシア】勢が何とかするだろうと思っていたが、俺達アジア勢も出陣ってことになりそうだ。」