第二部 予告兼オープニング 3  ある男の回想

そうして、男は仮面の下に己の本当の目的を隠す。全ては、己が夢を空想として終わらせないようにするために。

それを知ってか知らずか、那由多銀河という男も彼のことは十二分に警戒はしつつも、優秀な仲間として扱った。ここはどこの空間にも属さぬ、那由多銀河が使用している【恒河沙の部屋】通称【septendecillion room】と呼ばれるところ。いつか、数多の世界線を支配するという名目でそういう名前を付けたわけで、本当にそれだけの部屋があるとかそういうわけではない。あくまで、その部屋の固有名詞としてつけられただけだ。かの大魔術【キシュア・ゼルレッチ】にも特定できない秘密の場所。そこで、二人は戦争を始めるための最終会談を始めていた。

 銀河「というわけだ。さて、マダラよ。仲間がそろったところでまず初めにどこから戦いを吹きかける?」

 マダラ「そうだな。一つは囮として、錬金術世界、アメストリス国へ松永、ゲマに協力してもらうとしよう。その間に、あの男に我々最大の障壁である【ノウムカルデア】の襲撃を頼むとしよう。」

 

銀河「いきなり大胆だなマダラよ。…が、あの男なら一人でやりかねんな?…とおもいきや、さっそく参られたか【片翼の天使】殿。

片翼の天使と呼ばれた、黒を基調とした出で立ちに、銀の長髪をたなびかせながら、この世の者とは思えないほどの美しい容貌をしたその男はその空間に足を踏み入れる。